<AKB48グループドラフト会議 密着ドキュメント>(TBS系)
後味悪い見せ物オーディション…ウソに見えてしまう「さらし者」たちの涙

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   昔からオーディションやセレクション番組にめっぽう弱い。スポーツでも芸能界でも、選ばれなかった者の悲哀は変わらない。努力が報われる瞬間と夢が砕け散る瞬間が一緒くたになって迫りくる、これほど残酷なショーはない。だからこそ、見終わった後にはハングリーな気持ちが湧き上がる。悔し涙に恥じないだけの努力をしようと。

落選の痛み知る高橋・大島「辛い」。指原泣きっぱなし

   密着したオーディションは「AKB48グループドラフト会議」だった。候補者が目指すのは国民的アイドルグループの新戦力だ。だが、この密着ドキュメントでは、候補者が講師らに酷評され、それでも立ち上がる姿を映す「定番」シーンはほぼない。焦点が当たるのは公開オーディション当日の様子だ。

   候補者はダンスと質疑応答を終えると、会場に横並びに座らされ、現AKBメンバーらによる指名を待つ。指名が集中する子もいれば、誰からも声のかからない子もいる。選ぶ側もかつてオーディションを勝ち抜いてきたアイドルだ。落選の痛みをよく知る彼女たちの口は重くなる。高橋みなみと大島優子は「辛い」と口をそろえ、指原莉乃は交渉の前から涙を流す。

   番組が進むと明暗はくっきりと浮かび上がる。3チームから1位指名された少女のアップが映し出され、フレームインしたすぐ隣の少女がさっと目を伏せる。切ない。普段はおとぼけの印象が強い小嶋陽菜も涙が浮かべて見守っていたのが印象的だった。そうだよね、可愛いだけで世の中をわたってきたわけじゃないよ。努力して、悔しい思いも何度もして、今そこに座っているんだよね。

あざとさ気になって共感できない!

   しかし、彼女たちの涙もエンターテインメントとして作られていると思うと、興ざめの感は否めない。自分たちで集め、試練を与え、成長や人間関係のドラマを作り、壊す。一握りの選ばれた者はその後のステップに変わるのだからいいかもしれないけれど、多くはさらし者になっただけだ。その時その時の参加者は本気でも、「またやってる」「作られたショー」と見られてしまう。消費される汗・涙・友情・努力は、ときに邪推や安っぽい既視感を伴う。

   これがミュージカルのキャストや宝塚音楽学校のオーディション、もしくはスポーツ日本代表の合宿を追ったもので、もともと用意されていた選別の機会にたまたまカメラが入ったのなら、ここまでの不快感はないと思う。選ばれざる者の涙の威力、オーディションを通しての葛藤というストーリーが共感と感動を呼ぶ。それを知りつくして、こういう見せ物を作る行為のあざとさが、心からの共感の邪魔をする。

   オーディション番組が好きです。でも、オーディション番組を作るためのオーディションは好きじゃないんです。(11月17日深夜1時20分~)

(ばんぶぅ)

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