「減反廃止」補助金頼み止めるチャンス!「コメつくらないと儲かる」やっぱり変だ

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   政府は5年後をめどに減反制度(生産調整)の廃止を打ち出した。40年以上続いた農業政策の大転換だ。規模の拡大ができると期待を抱く農家がある一方で、補助金頼りの零細農家の将来は暗い。安倍首相は「農家自らの経営判断で競争力の強化を」というが、農業をここまでダメにしてしまった元凶はだれなのかといいたくなる。

零細農家「農業続けられない」

   北海道・長沼町の駒谷信幸さん(71)はいま10ヘクタールでコメを作っている。減反前は60ヘクタールもあった。減反は29歳の時だ。「減らさないと補助金がもらえない。みんな意欲をなくした」という。

   駒谷さんは減反地で玉ねぎやジャガイモをつくりながら、ブランド米「ゆめぴりか」を消費者やスーパーに直販している。10キロ4500円はやや高めだが、全国から注文が来る。「これからは消費者のニーズに合わせて、自分の考えで自由に作物が作れる」と期待する。

   しかし、こうした農家は少ない。農産品に占めるコメの割合は21%に過ぎないが、数ではコメ農家が圧倒的だ。その6割が1ヘクタール未満という非効率な零細農家である。支えてきたのが補助金で、その象徴が減反だった。

   茨城・城里町の兼業農家・古滝初男さん(63)の水田は1.5ヘクタールだ。去年のコメ収入は130万円、補助金60万円、その他で計196万円と年金で暮らしている。5年後にはその60万円から21万3000円が減る。古滝さんは品質の高いコメを作ってきた。「ななかいの里のコシヒカリ」は全国コンテストで最優秀もとった。しかし、中山間地で規模の拡大はできない。「生き残ろうという情熱はあっても、5年後が見えない。成り立たなければ止めざるを得ない」という。

   日本総合研究所の三輪泰史研究員は、減反廃止で「攻めと守りの色分けがはっきりした」と肯定する。減反には(1)伸ばしたいのに減反(2)モチベーションの高い層を抑えてしまった(3)その結果、高いコメ――という矛盾があったという。新方針は意識の高い層が農業を産業化するという方向性を出した。これが「攻め」だ。ただ、山間地の環境や文化を守るという別の仕組みでのサポートも必要という。「減反見直しと補助金はパッケージだが、情報が出て来ないのでみな不安になっているんです」と話す。

集団化や海外生産で「農業を儲かる産業に…」

   農家の集団化、新規需要の掘り起こしも始まっていた。秋田で、「株式会社 東日本米産業生産者連合会」が発足した。秋田、宮城、岩手の農家が県境を越えて連携する。1万ヘクタール、5万5000トンを目標に、コストダウンと高い供給力を実現したいという。注目されるのはその販売先だ。コメとは無縁の生活用品メーカー「アイリスオーヤマ」の全国1万300店舗で売る。独り者世帯の発掘にと、「つや姫」を3合の小分けパックにした。中小農家を抱えるJAグループは、コメのオリジナルブランドと粥、餅などの加工品で需要の拡大をもくろんでいる。

   海外へ目を向けた農業生産法人もある。岩手・北上市の「西部開発農産」はベトナム・ハノイ近郊の水田で、「ひとめぼれ」「あきたこまち」の試験栽培をしている。岩手では205ヘクタールの規模を生かしても60キロ9552円(これでも平均より40%安い)が限度だが、ベトナム米は試算で 4200円が可能と出た。これをシンガポール、タイへ売って、本体の基盤を強化するのだという。

   三輪氏は「農家を続ける意欲と意志のある人たちのグループ化・法人化に手厚く金を投じていくこと。これで新しい人たちが増えます」と楽観するが…。

   戦後の農地改革が目指したのは農業の自立だった。それをぶち壊したのが農家を選挙の票田としか見ない自民党による政策米価と補助金である。 結果、減反面積は農地解放面積を上回った。長い長い回り道。それを進めた連中はまだ居座っている。

ヤンヤン

NHKクローズアップ現代(2013年11月29日放送「コメ作り大転換~『減反廃止』の波紋~」)
文   ヤンヤン
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