2024年 4月 17日 (水)

身勝手すぎる親たち!里親委託・養子縁組受けられない子供増加…「自分は育てられないがヨソの子にするのイヤ」

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   子どもを授からない夫婦が望みを託す里親委託や養子縁組の説明会が全国で開かれている。ところが、実際に里親委託や養子縁組によって家庭に託される子どもはごく僅かだ。乳児院や児童養護施設で暮らす子どもは全国で3万人を超える。国は3年前、子どもは施設よりも家庭で養育すべきだという原則を示したが、実効ある具体策を提示したわけではないので進んでいない。

   背景に何があるのか。見えてきたのは、子どもを育てられない環境にありながら、子への愛情から他の家庭に託すことができず、施設に預けたままの親が多いことだった。その一方では、親からの虐待など実の親と暮らせない子どもも増加中で、担当する児童相談所では手が回らないという現実がある。

母親「いつでも会えるよう施設が預かってほしい」面会に来たのたった2回

   子どもにとって、大人から一対一で愛情を注がれ、自分のことをしっかり見ていてもらえることは心の安定に必要といわれ、将来、人との信頼関係を築くうえでも重要だとされる。

   ところが、親からの虐待、貧困、望まない妊娠などによって、実の親と暮らすことができない子どもたちが増え、そのうちの9割、3万人が乳児院や児童養護施設で育てられている。地域によっては、子どもの里親になってくれる家庭が少なかったり、一人ひとりの子どもの事情を丁寧に見極めながら里親などどの橋渡しを行なう児童相談所の体制が整っていなかったり、子どもたち第一の制度になり切れていないのが現状という。

   欧米ではこうした子どもたちの7~9割が里親などの家庭で暮らしているのに比べると、日本は極めて遅れていて、国連から繰り返し改善が求められてきた。「クローズアップ現代」はそうした例として、群馬県内にある児童養護施設で育てられている2歳の男の子「ひかる」(仮名)を取り上げた。ひかるは母親が育てられないため、生まれるとすぐこの施設に預けられた。

   職員は日中は6人おり、一人で複数の子どもの面倒を見ている。ひかるは最近、担当の職員を独り占めしようとむずかることが多くなった。施設はひかるが親元に戻れないなら、早く他の家庭で育ててもらったほうが良いと考えている。主任指導員の小椋里香さんはその理由を「小さいときに特定の大人と一対一の愛着関係を持つことは本当に大切で、施設の中での養育には限界があるんです」と指摘する。

   子どもを他の家庭に託せるかどうかを判断するのは児童相談所で、ひかるを他の家庭に託す方法は2つある。実の親に親権の放棄を求める養子縁組と親権は残したままで養育だけを任せる里親委託だ。そこで、群馬県中央児童相談所はいずれは引き取りたいという母親の気持を忖度し、里親委託を勧める方針を固めた。母親の同意を得られるかどうか、担当職員が母親を訪ねたところ、「今は引き取れないが、いつでも会えるように引き続き施設で預かってほしい」という答えが返ってきた。

   児童相談所の調べによると、多くの親が子どもを他の家庭に託すことに強い抵抗感を示すという。「子どもが託している家に愛情が移って、離れなくなるのが心配」「自分で育てるのは無理だが、手放すのは嫌だ」という理由だ。しかし、ひかるの母親が昨年面会に来たのはわずか2回だけだった。中途半端な親の愛情は、長い目で見てかえって子どもにとっては酷だが、親の判断をのむしかない。

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