<明日、ママがいない>(日本テレビ系)
あえて評価したい顰蹙覚悟の制作!心温まるドラマじゃ伝わらない養育放棄・虐待の心冷える現実

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   このところ一貫して「母と娘」の問題をテーマにしてきた日テレ水曜枠の新ドラマである。いやー、これではあっちこっちから批判を受けるだろうなあ。「Mother」(2010年4~6月放送)の芦田愛菜や「Woman」(2013年7~9月放送)の鈴木梨央はじめ、かわいくて芸達者な子役がいっぱいなのに、心温まるどころか心冷えるドラマなんだもの。少なくとも第1回は。

   案の定、「赤ちゃんポスト」を設置した熊本市の慈恵病院は放送中止を申し入れるそうだ。児童養護施設からも「実態と違う。誤解を与える」との声が上がっているらしい。

女優・芦田愛菜「泣き演技」見事!

   だが、制作側はそんなことは始めから想定していたはずだ。だってグループホーム「コガモの家」内で呼び合うニックネームときたら、ピアノが好きだからピア美(桜田ひより)、17歳だからオツボネ(大後寿々花)はいいとして、赤ちゃんポストに置かれていたからポスト(芦田愛菜)、ロッカーに捨てられていたからロッカー(三浦翔平)、親が貧乏のため預けられたからボンビ(渡邉このみ)だって。新入りのマキ(鈴木梨央)に至っては、母親が鈍器で男を殴って逮捕されたからドンキにされてしまう。実際の養護施設でそんなことがまかり通るなんてありえないでしょ。

   建物は薄汚いし、責任者の佐々木(三上博史)は冷酷だ。食事前に子供たちに向かって「お前ら、飼い主にもらってもらうために芸の一つもしろ。泣いてみろ」なんて言うのだ。そこで芦田愛菜がペットとして「心を癒し、庇護欲をかきたてる」泣き方の見本を見せるシーンがみごと。まずここで女優・芦田愛菜の見せ場を作っている。

   子供たちはこの小規模養護施設で、里親や養親にもらわれてゆくのを待っている。ずっと前に見たアメリカ映画「サイダーハウス・ルール」(1999年)を思い出した。ひとり、またひとり、養子として引き取られてゆく仲間を、折り重なって窓から見送る残された子供たちの切ない表情が心に残った。

   養護施設の話を、心優しく正しい職員と、不幸に負けず健気に頑張る子供たちのホッコリ明るいドラマにすることは簡単だろう。だが私は、確信犯としてあえてひんしゅくを買おうとする制作側の姿勢を認めたい。たしかに慈恵病院や施設職員の方は気持ちが良くないだろうけど、見る方はドラマだと分かっているのだから、そこは「ごめんなさい」です。

大丈夫!心打たれるエンディングの予感

   この十数年、児童全体の数が減少しているにもかかわらず、保護を必要とする児童数は増加している。里子になっている子供が約2倍に、児童養護施設に入所している子供が約1割、乳児院に収容されている赤ちゃんが約2割増えている。しかも理由は親の死亡や入院よりも、親がいても養育拒否や虐待による方が多くなっているのだ。1999年に児童虐待防止法が施行され、発見されるケースが増えたこともあろうが、それだけではないだろう。

   視聴率を上げるために多少あざとい面は鼻につくけれども、そういう現実に目を向ける人が少しでも増えるならばいいのではないか。それに、施設責任者・佐々木や児童相談所の水沢(木村文乃)の本当の優しさが分かってきて、だんだん心打たれるドラマになっていくと思うよ。焦って心温めなくてもね。(放送水曜日よる10時~)

(カモノ・ハシ)

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