2024年 4月 25日 (木)

都知事選「原発国民投票」大いに結構!3・11福島以降もスルーしてきた「この国の最大事」

舛添ホンネは「親原発」!持ち馬の名前はアトミックサンダー(原子の稲妻)

<「舛添さんの本音は、原発の再稼働です。(中略)舛添さんは、脱原発の有権者を刺激したくなかったから曖昧なことを言っただけに過ぎません。なにせ、一億円以上稼いだ馬の名前がアトミックサンダー(原子の稲妻)ですからね。そもそも彼は参院議員時代から親原発で、新聞に原発の必要性を説いた文章を寄せたこともあるほどです」>

   都知事選が始まった。細川護煕候補の出馬でがぜん「脱原発か否か」が争点になってきた。票読みもそうだが、週刊誌も細川応援派と中間派、反細川派に分かれて喧しい。

   先のコメントは『週刊新潮』の「ニュースがやらない『都知事選』重大ニュース」の中で舛添氏の競馬好きについて自民党関係者が語ったコメントである。週刊新潮は原発再稼働については前向きだから、スタンスとしては非細川のようだ。

   私は知らなかったが、舛添氏は大変な競馬好きで、これまでに所有した競走馬は個人、共同、一口馬主を含めると少なくとも25頭を所有しているという。そのうちの1頭が大化けしたそうだ。競馬記者がこう振り返る。

<「東京の大井競馬場は、地方競馬では最大規模を誇ります。その最大のレースは東京ダービー。舛添さんの持ち馬が1997年、98年と2年連続で勝利したのです」>

   さらに、このアトミックサンダーは戸塚記念などでも勝利し、生涯成績は16戦8勝で、獲得賞金の総額は1億1006万5000円に上ったという。「女性はともかく、馬を見る目は確かです」とその競馬記者も太鼓判を押している。

   都知事候補ともなれば、競馬馬の名前からも『親原発』だといわれてしまうのだが、たしかに舛添氏は「東電全原発停止でどうなる電力危機」と題した文章を2003年4月26日付の産経新聞に寄せている。

<京都議定書で掲げられた地球温暖化ガス6%の削減目標に到達するのは容易ではない。もはや、石油や石炭を多用するわけにはいかないのである。この点でもクリーンな原発の重要性を正当に位置づけるべきである>

「原発即ゼロ」の『即』削った細川陣営リーフレット

   対する細川氏のほうだが、気になるのは小泉元総理についての論評は多いが、細川氏については小泉氏の付け足しという程度で、影が薄いことである。『週刊ポスト』は「小泉・細川を潰せ『大謀略』」、『週刊文春』は「小泉進次郎は純一郎の操り人形か」と、どちらも小泉氏に力点が置かれている。

   週刊文春では細川氏は「相変わらず優柔不断」だとしてこう書いている。<選挙事務所には、細川氏自筆の『桶狭間』の書が飾られている。

「桶狭間の合戦」で少数で大軍の今川義元を倒した織田信長に自らをなぞらえていることでわかるように、細川さんはナルシスト」(細川氏の古くからの知人)

   だが指揮系統が明確でないために、現場に混乱をきたしている。(中略)ワンイシューにしたい原発政策すら腰が定まらない。

「原発問題のブレーンである元経産官僚の古賀茂明氏は『原発即ゼロ』が持論。その方針でリーフレットの発注をかけたのですが、見本刷りが仕上がってくると『即』が削除されていた。止めたのは、田中秀征氏。多少表現を和らげた方が支援に広がりが出ると思ったようです」(選対関係者)

   細川氏を古くから知る関係者が嘆く。

「内部対立で八ヶ月で崩壊した細川政権の時と同じ。殿は周囲に言わせるだけ言わせて全く決断できず、考えるのは、その場しのぎの『ええ格好しい』だから、結局前言撤回に追い込まれていくのです」>

   だが週刊文春は、返す刀で舛添氏もぶった切る。1月14日(2014年)の都知事選出馬会見で舛添氏は「私の政治の原点は母親の介護です」と言い放ったが、身内が反論しているというのである。舛添氏の姪がこう語る。

<「祖母の介護のことをまた持ち出していましたが、事情を知る者にとっては本当に頭に来ます。近所でも叔父の本当の姿を知っている人たちは、誰も良くは言わないし、私もとても応援する気にはなりません」>

   舛添氏は1998年に『母に襁褓(むつき)をあてるとき――介護 闘いの日々』を出版した。認知症が進む母・ユキノさんを介護した体験と、介護をめぐって長姉夫妻と対立し、絶縁にまで至った経緯を赤裸々に描き、長姉のことを過剰なまでに罵った。

   だが、その後、長姉が週刊文春の取材に答え「要一が本で書いている内容は、全部反対の話だ」と反論し、近所に話を聞いても長姉の話のほうを裏付けたようだった。

<生活保護を受けていた姉の扶養を断る一方で、舛添氏は愛人の子供の教育費の減額を求めて調停を申し立てたこともある。安倍首相に都知事選の応援を求められた元妻の片山さつき氏から「障害を持つ婚外子に対する慰謝料や扶養が不十分だ。解決されていない」とダメ出しされたのも、宜(うべ)なるかな>(週刊文春)

勝つのはどっち?週刊文春・週刊新潮はダブルスコアで「舛添」。週刊ポストは無党派層に乗って細川

   優柔不断な殿と女性問題や身内から批判を受ける元政治学者の争い。では、どちらが優勢なのか。週刊文春はこう予想する。

<齢七十を超え、純一郎氏の勝負勘にも翳りが見える。一月十八、十九日に自民党が行った調査では、舛添氏が細川氏をダブルスコアで引き離している。
   「都知事選で細川氏が惨敗すれば、純一郎氏は政治的影響力を失うことになるでしょう。だが、原発ゼロは純一郎氏の『政治的遺言』として進次郎氏に継承されることになる。進次郎氏は、その『十字架』を背負って政治人生を歩むことになります」(自民党関係者)>

   週刊新潮はこうだ。<都政担当記者によれば、

「前回は衆院選との同日選挙でしたから投票率が高かった。今回は50~55%で、総投票数は500万~600万票でしょう」

   舛添氏の基礎票は支援する自民党の100万、公明党80万、連合東京20万の計200万票と目されている。

「小泉元総理の人気も手伝って、細川元総理の支持率は各社の世論調査で20%台前半。得票数にすると100万票を超える計算になります」

   だが、細川・小泉連合圧勝と読む週刊ポストは、自民党幹部らが大手紙ベテラン政治部記者とともに情勢分析をした数字があると報じている。それによれば、投票率55%という前提で、舛添氏は自公の基礎票の目一杯で約230万票、細川氏は250万票前後になるという結果が出たという。しかも、投票率55%というのは少なく見積もった数字であり、それより高くなれば無党派層の票が入り込み、細川氏にさらに有利になるというのである。

   私は今回の都知事選だけは「脱原発か否か」の『国民投票』でいいと思っている。3・11以降、国政選挙で原発問題はまともに論議されてこなかった。それをいいことに、安倍首相は原発再稼働を宣言し、加害者の東京電力が原発太りしそうな現状に、みな怒りをもっているのだ。

   そんなことを許してはなるまい。福島第一原発事故から3年を迎える直前、初めて国民の審判が下るのだ。もちろん原発はいらないが圧倒的多数であること間違いないと、私は思っている。

安倍首相の持病悪化?1時間ごとにトイレ―長時間の国会審議ツライ

   親細川派である週刊ポストは、ここへきて安倍首相の健康問題がまた不安視されてきたと報じる。安倍首相の国会審議に対応する時間を減らしてくれという「国会改革」が自民党から提案されているが、これは自民党国対幹部の説明によると、安倍首相の健康問題についての深刻さを表しているのだというのだ。

<総理の国会出席日数を減らせというのは官邸からの強い要請だ。総理は最近、トイレに行く回数が増えているらしい。外遊同行筋などの情報では、総理に返り咲いた頃は数時間に1回だったが、このところ1時間ごとに行くときもあると聞いている。だから長時間の国会審議で首相席に座り続けることを非常に嫌がっている。その点、1時間の党首討論なら毎月やっても問題ない>

   難病指定されている潰瘍性大腸炎という持病を抱える安倍首相にとって、「トイレの回数」は健康のバロメーターである。安倍首相自身が退陣後に『文芸春秋』(2008年2月号)に寄せた手記でこう書いている。「腸壁が刺激されるたび、三十分に一度くらいの頻度で便意をもよおします。夜もベッドとトイレの往復で、到底熟睡などできません」

   小泉氏が講演で原発ゼロを打ち上げた昨年11月(2013年)に、官邸関係者の一部で「ケネディ駐日大使の表敬訪問すっぽかし」と呼ばれる出来事が起きたという。ケネディ大使の表敬訪問があるのに出席せず、その間、空白の1時間5分があるというのである。「極秘に都内の病院で診察を受けたようだ」という情報が飛び交ったというが、真偽のほどはわからない。

   だが、首相ウォッチャーの大腸専門医は、匿名を条件に安倍首相の健康管理にこう疑問を呈している。<「潰瘍性大腸炎を悪化させる要因は3つある。1つはストレスで、2つ目は家庭環境、3つ目が酒だ。総理大臣という職務は健康な人でも大変な重圧だろうが、難病を患う安倍さんは、よほど節制しないとストレスが健康な人の何倍も心身をむしばむことになる。安倍さんが会合でビールやワインを何杯も飲むと聞くと、心配になります。

   そもそもアサコールは潰瘍性大腸炎の画期的な特効薬といわれるが、完治させる薬ではない。また、手記によれば安倍さんの患部は大腸の中でも肛門近くと見られ、薬が届きにくい可能性もある。ストレスが溜まって炎症が起き、時々ステロイドを服用して症状を押さえているのかもしれない」>

   大きなストレスを抱え、家庭内野党を声高にいう昭恵夫人がおり、それらを忘れるために酒を飲むのは悪循環である。今年は安倍首相にとって本当の試練の年になる。くれぐれも身体にはご注意を。

「明日ママ」ドラマ監修の元養護施設長「実態と違いすぎると日テレに伝えたのに…」

   さて、1月23日の『asahi.com』にこんな記事が載った。<日本テレビ系ドラマ『明日、ママがいない』(水曜午後10時)のスポンサー、JX日鉱日石エネルギー(ブランド名エネオス)とキユーピーは、22日に放送された第2話で、CMの提供をしなかった。放送前、JX日鉱日石は「視聴者からのご意見をふまえ、CMの放送は控えさせていただきます」とコメント。キユーピーも前日、提供社名を外すことを協議しているとしていた。(中略)

   芦田愛菜(9)主演の同作は児童養護施設が舞台。これまで施設関係者を傷つける恐れがあるなどとして、「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)を設置する熊本市の慈恵病院のほか全国児童養護施設協議会、全国里親会が放送中止や表現の改善を求めている。慈恵病院は22日、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会に審議を求める申立書を送付した。またこの日、熊本市の幸山政史市長は会見で「過激な描写や演出、現実離れした表現が多く誤解を与えかねない。局は、施設当事者の声を真摯(しんし)に受け止めてほしい」と述べ、改善を求めた>

   週刊文春は今号でいち早くこの問題を取り上げている。芦田愛菜主演で今月15日にスタートしたこのドラマは、脚本家の野島伸司氏(50)が脚本監修を務めている。児童養護施設を舞台に、第1話では鈍器で恋人を殴る傷害事件を起こした母親に見捨てられ、グループホームにやってきた少女が、施設でリーダー的存在の「ポスト」(芦田)に出会う。赤ちゃんポストに預けられ、親を知らないまま育っているためについたあだ名だという。そして、新参者に付けられたあだ名は「ドンキ(鈍器)」だった。

   その施設で『魔王』と呼ばれる冷酷非情な施設長から、朝ごはんの食卓を囲む子供たちに、「お前たちはペットショップの犬と同じだ」「犬だってお手ぐらいはできる。わかったら泣け。泣いたヤツから食っていい」などと罵倒される。こうした扇情的な描写が功を奏したのか、初回視聴率は14%という好成績だったという。

   この番組放映後、日本で唯一「赤ちゃんポスト」(同院ではこうのとりのゆりかごと命名)を運営する熊本の慈恵病院が物言いをつけたのだ。同病院は「施設の子どもへの偏見を生む」として、日本テレビに放送中止や関係者の謝罪などを文書で求め、BPOへ申し立てをしたのである。

   また、週刊文春によれば、日テレ関係者は養護施設について取材もし、専門家の監修も受けているといっているようだが、実際にこのドラマの「児童養護施設監修」を請け負った元養護施設長の岡本忠之氏は異を唱える。

<「一話と二話の台本を読み、施設の実態とあまりにもかけ離れていることは、日テレにも伝えました。
   特にドラマに出てくる施設長について、『あんな風な言動をしていたら、厚生労働省のほうから即刻注意されますよ』とアドバイスしました」>

   専門家からダメ出しがあったにもかかわらず、日テレの制作サイドは特に方針を変えることはなかったということのようだ。

   さらに、日テレの局関係者は「結局、良くも悪くも話題作になった。視聴率を考えればガッツポーズです」と話している。

   野島氏は『高校教師』や『人間・失格』『聖者の行進』などで、タブーをテレビドラマに持ち込むことで知られている。『聖者の行進』の第四話には、知的障害者へのリンチ場面があり、こんなセリフがあったという。

「お前らは猿だ! 見せ物小屋の猿なんだよ!」

   私のように週刊誌で過激なことをやってきた人間には、このドラマについていい悪いをいえる立場にはない。だが、最後まで見なければ、脚本家が何をいおうとしているのかわからないのだから、日テレはCMが入らなくても続けて欲しいと思う。やたらコンプライアンスなどがいわれだし、少し過激な状況や表現を使うことを自粛したり、スポンサーが圧力をかけて来る状況を、私は苦々しく思っている。

   少し前に『若者たち』という映画を再び見直した。両親のいない貧しい3人兄弟と長女の物語で、はじめはTBSの連続ドラマであった。60年代、安保闘争や学生運動が世の中を騒がし、まだ高度成長の波が届いていない貧困地域に暮らす若者たちには、頑固な長兄(田中邦衛)との壮絶なケンカが絶えない。

   このドラマでは原爆後遺症で悩む青年や、在日朝鮮人の差別問題、学生運動とは何かなどが生な形で語られる。こうした社会性の強い番組がテレビでもできた時代があったのである。

   いたずらに過激な設定と言葉を並べ立てて話題にして視聴率を稼ぐだけなら、そんな番組はやらないほうがいい。日テレと脚本家はなぜいまこのドラマをやらなくてはならないのかを視聴者にわかってもらう努力をしなくてはいけないはずである。

   BPOが丸ごと正義であるはずはない。堂々と自らの正しさをBPO委員たちの前で主張したらいい。そうしたことをおざなりにしてきたから、テレビは力を失い、見られなくなってきたのだから。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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