池端俊策の脚本、尾野真千子「強い女」さすがに見ごたえ!残念な後編のゆるさ…啄木との色恋話いらなかった
<足尾から来た女 前後編>(NHK総合)

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   足尾銅山鉱毒事件は公害の原点ともいうべき事件で、教科書にも出てきた。渡良瀬川が汚染され、近くの村々の作物も育たず、村は疲弊していった。地元の政治家・田中正造(柄本明)から、東京の活動家である福田英子(鈴木保奈美)の家の家政婦を頼まれて、村の娘の新田サチ(尾野真千子)が上京する所から始まった物語。
   結論から言えば、さすがは池端俊策の脚本。前編は非常に面白かった。英子の家のややこしい人物関係や、居候活動家の石川三四郎(北村有起哉)の、対・英子と対・サチの得も言われぬ男の性(さが)など、この時代は「主義者」と呼ばれていた社会主義活動家の活写が興味深かった。
   しかしである。残念なのは後編で、エンタメ性を確保するためか、サチと啄木の恋が長々と描かれた。こんなのは入れない方がよかった。文盲だったサチが、文字を読む喜びを知り、スパイの後ろめたさと葛藤しながら、谷中村と英子の家とを行き来するうちに、成長してゆき、田中とも兄とも違う自分の視点で世の中を見つめる姿を描いた方が説得力があったのではないか。
   原発事故で帰郷できない福島の人たち、鉱毒で家を壊されたサチたち、100年も前の事件が現代に通じるテーマの価値は高い。尾野真千子の、素朴だが芯の強い女の造形は称賛に値する。ただ、秀才の兄・新吉の描き方が、銅が戦争で役に立ったという理由で為政者側についたという説明だけでは、やや尻切れトンボだった。(放送2014年1月25日21時~)

(黄蘭)

採点:1.5
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