2024年 4月 24日 (水)

<鑑定士と顔のない依頼人>
美しすぎる依頼人…心千々に乱れる偏屈な鑑定人!お洒落でゴージャスな謎解き

(C)2012 Paco Cinematografica srl.
(C)2012 Paco Cinematografica srl.

   美術品の真贋を見極める天才美術鑑定士にして、カリスマ的オークショニア(競売人)のヴァージルは、極度の潔癖症で人間嫌い。すでに老境に入りながら、人生で1度も女性と付き合ったことがなく、唯一愛情を注げるのは美女の肖像画という偏屈男だ。旧友のビリーと組んでは、不正に入手した多数の肖像画を家に飾り、それを眺めることが人生で最高の快楽となっている。

   そんなある日、彼のもとに遺品鑑定の依頼が舞い込む。依頼主はクレアという若い女性だったが、どういうわけかクレアは電話をかけてくるばかりで、姿を見せようとしない。憤慨し依頼を断ろうとしたヴァージルだったが、クレアの屋敷で歴史的価値のある美術品の一部を見つけ、依頼を引き受けずにはいられなくなる。そして、クレアの姿を一目見ようと屋敷に忍び込み、その美しさに心ならずも惹かれていくのだった。

あっという間にラスト15分…そこからまた大どんでん返し

   ジャンルでいえばミステリー映画ということだが、まずは謎解きよりもスタイリッシュな映像、豪華な骨董品、名画の数々(しかも一部は本物)、さらにその世界を引き立てる美しい音楽に浸りたい。センスの良さはさすがイタリア映画と唸らされる。

   主役のジェフリー・ラッシュは『シャイン』でアカデミー主演男優賞を獲得し、近年も『英国王のスピーチ』で国王と友情で結ばれる言語療法士役、『パイレーツ・オブ・カリビアン』でジャック・スパロウの宿敵ヘクター・バルボッサなど多彩な役をこなす演技派である。今回も脂ののった演技を見せてくれている。

   クレアが人前に姿を現さないのはなぜなのか、なぜ遺品整理をヴァージルに依頼したのか、そしてたびたび見つかる美術品の一部の出どころは…。ストーリーはいくつもの謎をはらんで展開するが、ベールが1枚1枚はがれていくように真実は明らかになっていく。常に心地よい緊張感があり、あっという間にラストの15分だった。そこからまさかの大どんでん返しが待ち受け、最後の最後まで息もつかせぬ展開となる。数々の名画の真贋を見極めてきた鑑定士に待っている切ない運命。これを皮肉な結末ととるか、原題通りの「The Best Offer」ととるか。評価が分かれるところだろう。

バード

おススメ度:☆☆☆☆☆

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