山田太一3年かかってやっと書けた「大震災の人びと」あがきながらまた立ち上がる「海辺のアルバム」
<山田太一ドラマスペシャル 時は立ちどまらない>(テレビ朝日系)

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   齢80歳を超えた山田太一の中で、東日本大震災を物語として紡ぐためには3年間の時間が必要だったのだろうか。時にユーモラスに、時に色っぽく、時に暴力的に、被災した人物たちがあがきながらまた立ち上がってゆく様を、2つの家族の3つの世代で見つめ語った素晴らしい「時の流れと共に過ぎ行く出来事」のドラマである。
   信用金庫支店長の西郷良介(中井貴一)の長女でOL・千晶(黒木メイサ)の恋人・浜口修一(渡辺大)は、祖父母、両親、弟のいる漁師の大家族。この立場の違った2人が婚約して時間も経たないある日、東日本大震災が起こった。高台の西郷家はほとんど無傷で、海浜近くだった浜口家は祖母、母親、修一本人が亡くなってしまう。
   良介は親戚付き合い直前だった浜口家の残された3人を、震災直後家に泊めたが、被災者にしか理解できない鬱屈で、祖父(橋爪功)が暴れ出し、父・克己(柳葉敏郎)や弟(神木隆之介)も一緒に出て行ってしまう。だが良介は浜口家を決して見捨てない。
   祖父母世代の描き方に作者の本音が出た。若い人間からは「老人は枯れている」と思われがちだがとんでもなくて、浜口家の祖父は西郷家の祖母(吉行和子)にバス停で「ハグさせてくれ」という。最後に1度も行けなかった自宅の跡地で、現実を受け止める祖父。孫子の世代よりよほど活動的で意志的なところに後期高齢者・山田の言いたいことがよく表れていたと思えた。堀川とんこう演出。(放送2014年2月22日21時~)

(黄蘭)

採点:2
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