大野智よく似合う「人間味あふれる死神」…すぐ命助けしてしまう『出来損ない』
<死神くん(テレビ朝日系金曜深夜11時15分)>大野智リーダーが新人の死神を演じている。深夜枠ながら、初回(4月18日)11・2%、2回目(4月25日)10・1%と大健闘している。1話完結で、毎回ゲストが出演し花を添える。
2話目のゲスト林遣都は保険会社のダメ営業マン島で、大野の新米死神がうっかり落としてしまった死神手帳を拾う。島はこの手帳にいつも怒鳴られている上司の名前を書きこんでしまった。手帳の威力はすさまじく、上司は瀕死の状態に。このままでは予定外の死を迎えてしまう。書いた本人が消さないとそのまま死んでしまうため、死神は必死で説得する。
泣きポイントも用意されてるほっこり癒し系ドラマ
友達のいない死神と近所の小学生だけが友達という孤独な島が酒を酌み交わす。腹を割って耳に痛いことを言い合い、心が通い出した。こういう場面の大野は誠実そうで説得がある。
「なんでも人のせいにするのは感心しないな」
「(上司が)厳しく当たるのは自分自身が招いたせいでは」
上司は野球部の後輩の島を反対する周囲を1人1人説得して入社させたこと、父親を早くに亡くして苦労した島を何かと気にかけてくれたこと、1日も早く一人前にしようと心を鬼にしてハッパをかけていたことなどに気付き、島は手帳の名前を消す。この後、話は二転、三転、島の心優しい部分にふれる泣きポイントも用意されていて、最後まで目が離せなかった。
大野は月9主演ドラマ「鍵のかかった部屋」の、物静かだが内に熱いものを秘めた役がよく似合っていた。今作は死神なのに人間に同情し、共感し、時には上にひるむことなく正論を吐いて正しい道を貫く『人間味あふれる死神』を好演している。見終わった後ほっこりさせてくれる癒し系ドラマ。お勧めだ。
知央