2024年 4月 25日 (木)

「選択転勤制」ウチの会社も導入してほしい!「親の介護」「結婚」で拒否OK、5年間猶予…

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   受け入れるか、さもなければ退社覚悟で拒むか。二者択一だったサラリーマンの転勤のあり方に変化が起きているという。背景に共働き世帯の増加、親の介護など、家庭の事情で転勤を躊躇する社員が増え、企業としても新たな制度を模索せざる得なくなってきた事情がある。

   とはいえ、企業としては新規事業の立ち上げや新たな営業戦略、あるいは人材育成の観点から社員に新たな環境で仕事をさせる必要もある。企業の事情と社員一人ひとりの都合を擦り合わせ、どう折り合いを付けるか求められる時代になったのだろう。

離職要因トップは男女とも「転勤」

   「クローズアップ現代」が2000人の視聴者を対象に転勤に関するアンケート調査を行ったところ、こんな辛い感想が寄せられた。50代の男性は寂寞たる転勤生活を振り返ってか、こう綴った。「勤続38年のなかで転勤15回、定年間際のいまも単身赴任中です」。40代の女性は「夫について転勤先を転々とし、経済的にも精神的にも消耗し、『転勤うつ』一歩手前」

   育ちざかりの子どもがいる働き盛りの社員にとって転勤は辛い。しかし、最近は社員の事情に配慮した新たな制度を模索する企業も増えている。全国に152の支店があり、4~5年ごとに転勤があるという金融機関に勤める入社30年の50代男性は、これまで京都、名古屋など8つの支店をこなしてきた。ところが4年前、心臓の持病を抱える母親を自宅に引き取り介護することになった。さて、どうするか。悩んでいたときに会社が一時的に転勤を免除する特例制度を始めた。この特例制度の対象には『親の介護』が入っていて、飛びついた。

   この会社が特例制度を導入したきっかけは、女性社員の離職率の高さだった。全社員を対象に「将来、離職の要因になり得るものは何か」を聞いたところ、男女ともに第一に挙げたのが『転勤』だった。「辞められるのは企業にとって大きな損失。離職防止という観点が重要です」と役員は語る。そして、「結婚」「出産」「育児」「介護」の事情があるときは、転勤を一時的に見合わせる制度を整えた。男女を問わず申請でき、給料や昇格にも影響しない。ユニークなのは新婚2年間は転勤免除。これによって離職率は改善でき、現在286人の社員が利用しているという。

   こうした企業側の特例制度が広がり、社員側も制度を受け入れる時期などの選択を迫られるようになった。飲料メーカーに勤める女性は4月(2014年)から関西に単身赴任している。自宅とカメラ付きのインターネットで繋いで、一家団欒しながら朝食を食べるのが日課で、単身赴任を後押しするのが都内に住む夫と2人の子どもたちだ。

   女性が幼い子どものいるのにあえて単身赴任を選んだのは、会社が女性リーダーを7年後に3倍の300人にするなどの目標を掲げ、女性社員の育成に力を入れ始めたことと関係がある。子育て中の女性でも転勤などでさまざまな経験を積んでほしい―こう考える会社側は、社員の都合に合わせて転勤の時期を最大5年間は回避ができる制度を作った。女性は今回は回避制度の権利を使わず転勤を受け入れることにした。転勤回避制度を使うなら、子どもたちが勉強や友だち関係で悩みを抱える時期にしたいと考えたのだ。

   一方、夫は出産後は仕事を抑え気味だった妻が転勤でキャリアアップのチャンスと判断し、自分が家事、育児を引き受け全力で妻を支えようと考えた。勤めている会社に働き方に制約が出ることを相談し、残業なしで働いている。夫は「定時の時間内に結果を出すことに集中するしかないかな。会社には申し訳ないけど」と話す。妻は「やっぱり一緒にいるのが家族として幸せですが、まずチャレンジしてみて、どのくらい家族に影響があるかトライしてみる」という。

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