2024年 3月 28日 (木)

養殖魚ビジネス遅れとる日本!人気寿司ネタのサーモンはノルウェー産

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   世界でいちばんたくさん魚を食べ、しかも上手に美味しく食べてきた日本人はまた、養殖にも長けていた。クロマグロの完全養殖にも成功した。それがいま養殖の量が減って、外国から養殖魚を輸入してるという。そんなばかな。

   しかし数字は明快だ。養殖は2030年には漁獲量に追いつくはずだったが、この20年間に養殖量は中国が5倍(4110万トン)、ノルウェーが10倍(132万トン)と各国が軒並みに増えるなかで、日本だけが0.7倍(63万トン)と減っている。

技術レベルはぶっちぎり世界一なのに、国の生産調整でピーク時の6割

   日本で1、2を争う養殖ヒラメの産地、大分・佐伯市の目下の売りものは「かぼすヒラメ」だ。特産のかぼすのエキスをエサにまぜて作り出した。「香りがする。あっさりでおいしい」と好評だ。これ、苦心の末なのだ。

   90年代から安い韓国産の流入で養殖ヒラメの値崩れが起こり、経営がきびしくなった。97年をピークに生産量は半分以下に激減した。かぼすヒラメは通常より1キロ当り800円高い値がつく。しかし、かつての生産量には戻っていない。

   国は3年前、供給過剰と暴落を防ぐために生産調整をかけ、養殖量の上限を決めた。上限を守れば損失を補填する仕組みだ。この結果、生産量はピーク時の6割に落ちた。背景には長期にわたる国内市場の縮小もある。

   近畿大の有路昌彦・准教授は「日本の養殖技術はぶっちぎりで世界一。しかし、国内市場だけを見てきたために、過剰供給に対処できないんです。国の施策も理解できますが、根本的には海外(輸出)を考えないといけない」という。日本がうろうろしている間に、外国が養殖魚を輸出品にしたというわけだ。

   その成功例がノルウェーのサーモンだ。焼いて食う魚のはずが、いまや刺身・寿司ネタになった。ノルウェーの対日戦略の勝利である。国有会社「ノルウェー水産物審議会」は養殖業者から運営資金を集め、生産から加工、輸出までを管理するほか、市場調査、マーケティング、広報もやる。調査結果は業者にフィードバックされ、製品づくりに生かされる。

   たとえば、「日本では肉の色が濃い方が好まれる。脂も多い方がいい。そのように特別にエサを工夫する」(担当者)といった具合だ。いやはや。日本以外にも駐在員を置いて、90か国に輸出し6000億円の市場を作り出した。

   有路氏は「日本には回転寿司などにフィレで入ります。フィレは産地加工しないといい品質が出ないんですが、ノルウェーはこれで攻めた」という。もともとノルウェーには国内市場がなかった。また、ジェネリック(包括)・マーケティングといって、みんなで獲って利益を分け合うという考えがある。どれも 日本とは逆だ。

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