2024年 4月 25日 (木)

養殖魚ビジネス遅れとる日本!人気寿司ネタのサーモンはノルウェー産

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   世界でいちばんたくさん魚を食べ、しかも上手に美味しく食べてきた日本人はまた、養殖にも長けていた。クロマグロの完全養殖にも成功した。それがいま養殖の量が減って、外国から養殖魚を輸入してるという。そんなばかな。

   しかし数字は明快だ。養殖は2030年には漁獲量に追いつくはずだったが、この20年間に養殖量は中国が5倍(4110万トン)、ノルウェーが10倍(132万トン)と各国が軒並みに増えるなかで、日本だけが0.7倍(63万トン)と減っている。

技術レベルはぶっちぎり世界一なのに、国の生産調整でピーク時の6割

   日本で1、2を争う養殖ヒラメの産地、大分・佐伯市の目下の売りものは「かぼすヒラメ」だ。特産のかぼすのエキスをエサにまぜて作り出した。「香りがする。あっさりでおいしい」と好評だ。これ、苦心の末なのだ。

   90年代から安い韓国産の流入で養殖ヒラメの値崩れが起こり、経営がきびしくなった。97年をピークに生産量は半分以下に激減した。かぼすヒラメは通常より1キロ当り800円高い値がつく。しかし、かつての生産量には戻っていない。

   国は3年前、供給過剰と暴落を防ぐために生産調整をかけ、養殖量の上限を決めた。上限を守れば損失を補填する仕組みだ。この結果、生産量はピーク時の6割に落ちた。背景には長期にわたる国内市場の縮小もある。

   近畿大の有路昌彦・准教授は「日本の養殖技術はぶっちぎりで世界一。しかし、国内市場だけを見てきたために、過剰供給に対処できないんです。国の施策も理解できますが、根本的には海外(輸出)を考えないといけない」という。日本がうろうろしている間に、外国が養殖魚を輸出品にしたというわけだ。

   その成功例がノルウェーのサーモンだ。焼いて食う魚のはずが、いまや刺身・寿司ネタになった。ノルウェーの対日戦略の勝利である。国有会社「ノルウェー水産物審議会」は養殖業者から運営資金を集め、生産から加工、輸出までを管理するほか、市場調査、マーケティング、広報もやる。調査結果は業者にフィードバックされ、製品づくりに生かされる。

   たとえば、「日本では肉の色が濃い方が好まれる。脂も多い方がいい。そのように特別にエサを工夫する」(担当者)といった具合だ。いやはや。日本以外にも駐在員を置いて、90か国に輸出し6000億円の市場を作り出した。

   有路氏は「日本には回転寿司などにフィレで入ります。フィレは産地加工しないといい品質が出ないんですが、ノルウェーはこれで攻めた」という。もともとノルウェーには国内市場がなかった。また、ジェネリック(包括)・マーケティングといって、みんなで獲って利益を分け合うという考えがある。どれも 日本とは逆だ。

養殖ブリを輸出しろ!水産会社と銀行が組んで海外戦略

   遅ればせながら、日本でも動きはあった。三重・尾鷲市の尾鷲物産は年間1200トンのブリを養殖している。この輸出をもくろんで、ノルウェーに社員を派遣してノウハウを学んでしつ。さらに、銀行と組んで、加工、冷凍などの生産から輸出までを行う仕組みを立ち上げた。「ブリは輸出の最有望株。日本近海でしか獲れず、刺身、寿司ネタとしてはサーモンに勝てる」

   有路氏はもうひとつの可能性をいう。「小さな業者でも最高の技術を持っています。大規模化した会社で技術者として働くという道もひとつの答えでしょう。ポテンシャルは世界一。最高の技術、海も広い、人もいる、文化もある」

   かつて、「アメリカ人に魚の美味さを教えるな」と書いたこともあった。もはや世界中が魚の美味しさ知ってしまった以上、資源保護の流れの中では養殖に望みを託すしかない。これも日本の役割なのだろう。

ヤンヤン

NHKクローズアップ現代(2014年6月19日放送「養殖ビジネス 国際競争時代~日本の活路は~」)

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