「スンニ派過激グループ」イラク制圧へ!アメリカ軍撤退でまるで太刀打ちできない政府軍

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   イラクでアルカイダ系組織が急速に台頭し国家分裂の危機に直面している。今月(2014年6月)、スンニ派過激派組織がイラク第2の都市で200万人の人口を擁するモスルを制圧した。

   2003年のフセイン政権打倒以来、イラクの民主化、治安回復を進めてきたアメリカが3年前に軍を完全撤退し、支えられていた政府軍は火器、戦闘能力で上回る過激派組織に太刀打ちできなくなった。

住民たち「政府軍よりよっぽどましな連中だよ」

   スンニ派過激組織は3年前のシリア内戦で急成長したという。組織を率いるアブバクル・バグダディは「アサド打倒の聖戦に参加せよ」と呼びかけ、世界中から1万人以上ともいわれる若者を集めた。武器や活動資金は湾岸産油国などから流れているとみられている。世界最大規模のイスラム過激派組織になったいま、その矛先はアサド政権だけではなくイラクにも向かっている。

   過激派組織はイラク・モスルに多く住むというスンニ派住民からも一定の支持を得ている。背景にはイラク国内のスンニ派とシーア派の宗派対立、シーア派政権への不満がある。シーア派のマリキ首相は就任当初、宗派や民族の融和をかかげたが、結局はシーア派があらゆる権力を独占するようになった。モスルでは政府軍の横暴を訴える住民もいた。

   過激派組織は住民に物資を配ったり、住民が過激派組織を家に招き水や食料を与える関係にもなっているという。「(過激派組織は)ガソリンとガスを配給してくれた。いい人たちで、言葉遣いもとても丁寧。シーア派の政府軍より、数百倍ましだ」(スンニ派の地元住民)

治安部隊解雇され10万人の「武器を持ってる失業者」

   中東情勢に詳しい高橋和夫・放送大教授は過激派組織がイラクで急拡大した背景についてこう指摘した。

「一番大きな要因だと思うのは、イラク政府はスンニ派の人たちを10万人ほど雇って治安の維持にあたらせていたが、アメリカ軍が撤退したあとで、マリキ政権はこの人たちを切ってしまいました。武器を持ってた人たちが職がない状況になり、不満が高まっているところに過激派がやってきて火を付けたというわけです」

   大量破壊兵器の保有を口実にアメリカやイギリスがイラクを軍事制圧し、日本の自衛隊も派遣された。しかし、大量破壊兵器は発見されず、イラクの宗教・民族対立をさらに深刻なものにしただけで、いまや内戦の泥沼だ。アメリカやその尻馬に乗って戦争を仕掛けた国々と政権の責任を検証すべきだろう。

NHKクローズアップ現代(2014年6月24日放送「攻勢アルカイダ系組織~イラク危機の真相~」)

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