恋愛運良しの休日に痛感したある真実!35歳を過ぎるとパタッとお声がかりなし
ついにこの時が来たかと梅雨時の曇った夜空を見上げ、ため息をつく。週明け提出の宿題もなく、久しぶりに休みになった週末だ。こりゃ遊んでいいぞと天からのお恵みだわと喜んだが、さぁ困った。なにもすることがない。
起きたのは昼前。これから遠出して日帰り温泉へ友達を誘って行くには遅すぎる。誰もが貴重な週末の予定は事前に立てているし、土日仕事の友達も多い。結局、ひとりで過ごすしかない。その時、猛烈にさびしさがこみあげてきた。
「あっ、私、彼氏がいなかったんだ」
気がついてしまった。今まであまりさびしいと思ったことはなかったけれど、35歳目前のいま、彼氏ナシで過ごす週末はとてつもなく長く感じる。これはなんとかしなくてはと、自分から動くことにした。でも、その前に、午後2時になって、とりあえず今日の占いをチェックする。これで恋愛運が良ければ外出、悪ければゴロゴロと家でふて寝をするしかない。見ると2つの占いが恋愛運良しと出ている。とりあえず占いを信じて出かけることに。
プールサイドの妄想
まずはずっと気になっている運動不足解消だ。近所のジム見学でセルフィー男を見たばかりだから、これは却下。向かったのが区民プールだった。子供たちがキャーキャー騒ぎ、若い夫婦が仲睦まじくプールサイドで談笑するのを見ながら、私はひとり水中ウォーキングに励む。恋愛運良しなんだから、きっといいことあるはず。プール脇でちょっとひと休みをしていたら――
「いつもこのプールに来られるんですか」
「きょう初めてなんです。でも水泳っていいですよね」
「ボクも好きです。いい気分転換になりますよね」
「お近くなんですか」
「えぇまぁ。○○の店とかいったことあります?」
「いいですよねえ」
「今度一緒に行きませんか」
なんて会話から恋に発展しちゃったりして、グフフッ…。ひたすらプールを行ったりきたり歩きながら、私はこんなよからぬことを考えていた。まぎれもなく妄想好きのアホである。
そんな時、プールに響きわたったのは越路吹雪さんの「ろくでなし」。想定外な選曲、さすが区民プールだ。「ろくっでなっしぃ~」というフレーズに合わせて、水中でブンブン手を振り回して大股歩きをしている情けなさで、身体の奥まで冷えてしまった。