手は下していないが殺させたのは私…人間心理の襞分け入った佳作!B級サスペンスと侮るなかれ
<森村誠一の終着駅シリーズ 残酷な視界>(テレビ朝日系)

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   土ワイというとB級サスペンスの代表のように言われるが、そんなにバカにしたものでもない。特に作家が書いたものが元になっている場合は、人間心理の襞に分け入って描くので、単なる事件の羅列には終わらない。当作品も謎解き部分に個性があった。
   通販会社の社員・由美(田中美奈子)が殺されて、牛尾刑事(片岡鶴太郎)らが部屋を調べると、由美の部屋の窓から橋が見えた。その橋では数か月前に飛び降り自殺の事件があり、自殺で処理されていたが実は自殺ではなく、誰かに突き落とされたということが露見する。そこで、牛尾らが今回の殺人事件と関係があるのではないかと調べ出す。由美には元同僚の邦枝(高岡早紀)がいた。
   早紀と由美の女同士の得も言われぬ確執が、殺人教唆と言わないまでも、犯人にライバル女を殺すように仕向ける物語である。原作には詳しく女の心理が描かれているに違いないが、この脚本では説明不足でわかりにくい。橋から突き落とした殺人を実際に目撃したのは邦枝であるのに、部屋の持ち主の由美であるかのように犯人に誤解させた結果、由美に脅されていると錯覚した男が由美を殺してしまう。邦枝は本当の贖罪は、自分が殺人を仕向けたことを忘れないために、由美のマンションを買って、一生罪の意識を持ち続けることだという。法律上、有罪ではないが、実は殺人を犯させた「一番の罪深さ」を作家は描きたかったのに違いない。消化不良だが。(放送2014年6月28日21時~)

(黄蘭)

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