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高齢ドライバー事故 2倍に増加!運転能力低下と過信「自分は事故起こさない」

   交通事故の総件数はここ9年間連続で減少し続けるなかで、高齢ドライバーが引き起こした事故は増え続け、最近15年間で約2倍に増加した。男性の9割、女性の7割が免許を持つ「団塊の世代」が高齢化し、高齢ドライバーは年間100万人規模で増えている。

   近田雄一キャスター「かつて高齢ドライバーは運転技術の高いひと握りの人たちだったのですが、必ずしも運転がうまくない高齢者が運転する時代へ入ってきました」

事故の6割が交差点!信号、対向車、歩行者など複雑情報の処理遅れ

   そんな高齢者の事故の6割は交差点で起きているという。高齢者の交通問題にくわしい立正大の所正文教授は、高齢者の身体、心理特性が事故の要因となっていると言う。運転中の「視野」の衰えで見逃しが増えるうえ、「反応動作」にも問題がある。単純な作業については若い人と比べても大きな衰えは見られないが、複数の作業を同時に処理する場面では藩王が遅くなったり、間違ったりするというのだ。交差点には信号、対向車、歩行者など、瞬時に処理すべき情報が多く、高齢者はそこで判断の遅れやエラーが生じやすい。

   ドライブシミュレーターを使って高齢者の運転特性を研究した名城大・中野倫明教授は「高齢者はどのタイミングでどう行動すべきかということが、すべて遅れます。見逃したり、遅れたりするんです。それが事故につながっていくのかなと見てます」と言う。

「事故回避に自信あり」30~40代10%、75歳以上50%

   高齢者の「過信」も事故要因となっている。所教授の調査では「事故を回避する自信がある」という人が30~40歳代で10%程度なのに対して、60代以降で増えていき、75歳以上で50%以上になるという。高齢者は自分の運転能力は年を取るにつれて落ちているという自覚は持っている一方で、長年大きな事故にあわなかったという経験則を過信していることの現れだという。

   高齢者は交通規則よりも経験則を優先し、たとえば統計上も高齢者の一時停止違反が非常に多いという。「『ここは徐行で十分だ』と一時停止を無視して、交差点での事故につながってしまう」(所教授)

   最近ではこうした運転ミスをカバーするクルマが開発されているが、高齢ドライバーほど新車に買い替えないという現状もある。

*NHKクローズアップ現代(2014年7月8日放送「運転し続けたい~高齢ドライバー事故の対策最前線~」)