いるいるこんな親父!西田敏行「品なく成り上がり風情」いちいち合点…人生後半の切なさ漂う上質の笑い
<おやじの背中 第3回 なごり雪>(TBS系)

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   どの回も面白いが今回はクスクスと笑いっぱなし。学歴もなく粗野な老人だが、田舎から出てきて1代で会社を成功させた小泉金次郎(西田敏行)は寄る年波で耳も遠くなり、会社の記念日の演目も、自分が提案した内容がことごとく通らなかったのでヒネて蒸発する。
   耳は聞こえたり聞こえなかったり、脚本家(倉本聰)が80歳過ぎた老人なので体験談か、金次郎と若者のやり取りが絶妙で凄くおかしい。極め付きはタイトルにもなっているイルカの「なごり雪」を、金次郎は会社設立時に色々なシーンで聴いたと主張するが、実は「なごり雪」が流行ったのはずっと後のことだと秘書に指摘される。つまり、過去の年代が混濁しているのである。ありそう。
   金次郎の会社は金属加工会社で勲章に縁があるのに、肝心の社長本人にはナニナニ褒章もナニナニ勲章もさっぱりお呼びがかからない。功成り名遂げた男が次に欲しがるのは勲章だとからかっているのだが、品がなくて、いかにもな成り上がり風情の西田の名演技によって、笑っちゃ悪いが「こんな親父、いるいる」と爆笑する。
   蒸発は自宅の床下に寝床を敷いて隠れていただけなのだが、友人で元刑事の大塚(小林稔侍)が金次郎を見つけ出す。演出家(石橋冠)も同年代で、「まだまだ現役だ」と突っ張りたい気持ちと、思うようにならない肉体の衰えと、その境界線上にいる後期高齢者(?)予備軍の切ない気持ちがそこはかとなく漂ってきた佳品だった。(放送2014年7月27日21時~)

(黄蘭)

採点:1.5
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