番組終了通告の真夏がやって来た!長寿番組に必ずいる「天皇」と呼ばれる絶対的存在

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   今年もいよいよ始まる。全国各地で熱戦を繰り広げ、ついに憧れの甲子園にたつ高校球児たち。今年の夏、母校が県大会決勝戦まで残ったのだが、宿敵に3-2で負けてしまった。以前は強豪校として知られていたが、近年はパッとせず、ようやくかつての面影を取り戻したかというところまで行ったのに、力及ばず甲子園の土を踏むことはなかった。久しぶりに後輩たちの戦いに胸が熱くなった。

野球が大っ嫌いになった高校時代の「恐怖支配」

   母校はかれこれもう50年程は野球の名門校として知られている。ド田舎の進学校で野球部も強い。そして全校生徒が応援する独自のシステムが確立されていたことでも有名だった。

   この応援団、高校入学前も野球は好きではなかったけれど、徹底的に野球嫌いにさせてくれるほど破壊力があった。入学して1か月も経った頃、昼休みになると教室の扉をドカ~ンと蹴って、ボンタンに長ラン姿で角刈りの応援団の2、3年生がドカドカと入って来る。♪パララ~チャララ~と高らかに「仁義なき戦い」のテーマ曲のトランペットが響き渡る感じ。まだ15、16歳の少年達が応援で喉を潰してドスの聞いた声でこう伝える。

「オメェラ、これから応援練習だ。ちゃんとやんねぇとブっ殺すぞ」

   これで1年生の大半はビビって固まってしまう。それでもヘラヘラしているのがいると、首根っこ掴まれて本当に拳が飛んでくる。そして、「テメェ、なにニヤついてんだよ」と恐喝される。これで全員がチビりそうになる。机をドカンガシャンと蹴り飛ばすと、「これ片付けろってんだろうがよ」と再び怒鳴り散らし、机を教室の隅に移動させて、強制的に全員参加の応援練習が始まる。

   両手を胸の前でしっかり90度に挙げて手を叩き、応援歌を歌わされる。反射的に校歌と応援歌が歌え、伝統的な応援方法ができるように叩きこまれるのだ。

   放課後に至っては、1年生全生徒が教室から全速力で体育館まで走って応援練習に参加する。私語厳禁、廊下は走るなといつもは言う先生もこの時ばかりは黙っている。言ってみれば生徒同士の恐喝や暴力が公然と行われていることに対しても黙認。

   いま考えてもあの伝統は不思議だ。たかが一部活の野球部の応援に対して、なぜこんな理不尽が長年まかり通っていたのだろう。坊主憎けりゃ袈裟まで憎い。そこから野球という2文字に拒否反応を示すようになってしまった。

優等生プロデューサーの番組なぜか短命

   母校の応援団のように恐怖で人の心を操るのは決してよくない。だけど、多くの人を動かすのに絶対的な存在が必要だというのは仕事で学んできた。高視聴率番組、長寿番組には必ずといっていいほど、「天皇」と呼ばれるプロデューサーがいる。

   かたやスタッフ全員に気を使ってくれるけれど、統括する力が弱い。絶えず意見を聞いてくれるけれど、結果として何も前に進まない、変化がない。こういうプロデューサーが仕切る番組はたいてい打ち切りか短命に終わってしまう。いい人なんだけれど、それじゃぁねぇ。誰もオママゴトで仕事しているわけではない。スタッフの後ろには家族がいる。その大きな集団を指揮できるタマがない人間の下で働くのは結構辛いものだ。

   真夏は番組終了が告げられる時期でもある。残念ながら、世の中から消えていく番組は数多い。あれだけ応援練習させられたのに敗退していった野球部を見る恨めしいさと切なさが入り混じった気持ちを、ふと思い出した。

モジョっこ

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