2024年 4月 26日 (金)

池上彰も怒った「朝日新聞」の傲岸!「慰安婦記事」訂正の批評コラム一旦は掲載拒否

<今回の検証は、自社の報道の過ちを認め、読者に報告しているのに、謝罪の言葉がありません。せっかく勇気を奮って訂正したのでしょうに、お詫びがなければ、試みは台無しです。
   朝日の記事が間違っていたからといって、「慰安婦」と呼ばれた人たちがいたことは事実です。これを今後報道することは大事なことです。
   でも、新聞記者は、事実の前で謙虚になるべきです。過ちは潔く認め、謝罪する。これは国と国との関係であっても、新聞記者のモラルとしても、同じことではないでしょうか>

   これは週刊誌に載った朝日新聞批判ではない。9月4日(2014年9月)の朝日新聞の連載コラム「池上彰の新聞ななめ読み」にある池上氏の言葉である。月に1回の新聞批評だが、本来これは8月末に載るべきものだった。これを朝日新聞が掲載拒否したため、池上氏が連載を降りるといい出し、渋々朝日新聞が「社内での検討や池上さんとのやり取りの結果」、掲載することが適切だと判断したというのである。

   何をバカなことをというのが私の感想である。週刊誌には多くの社外ライターによる連載やコラムがある。編集部の方針と違うことをその人たちが書くことはままあるが、それだからといってその週は掲載しないとか、書き換えてくれなどということはありえない。

朝日新聞OBも苦言「木村社長自らが一面に登場して、潔く謝罪するべき」

   けさ(8月4日)の朝日新聞には『週刊文春』と『週刊新潮』の広告は出ていたが、週刊新潮には●が2か所ある。東京新聞によると「売国」と「誤報」という言葉だという。

   たしかに週刊文春も週刊新潮も全面朝日新聞批判の文言で埋め尽くされている。これを見る朝日の人間は辛いとは思うが、身から出た錆である。耐えなければいけない。

   週刊新潮はウルトラ保守の作家・百田尚樹氏まで動員して批判しているが内容に新味はない。強いてあげれば、従軍慰安婦について書いた元朝日新聞記者で、いまは北海道の北星学園大学で非常勤講師を務める植村隆氏が、コンビニへ走って週刊新潮と読売新聞を買い込み、じっと目を凝らしていた(それを週刊新潮の記者がじっと見ていた)というところか。

   週刊文春は朝日新聞内部に強力な「協力者」がいるのであろう。木村伊量社長の社内メールもそっくり載っている。<「慰安婦問題を世界に広げた諸悪の根源は朝日新聞」といった誤った情報をまき散らし、反朝日キャンペーンを繰り広げる勢力には断じて屈するわけにはいきません><今回の紙面は、これからも揺るぎのない姿勢で慰安婦問題を問い続けるための、朝日新聞の決意表明だと考えています>

   決意はいいが、朝日新聞の名物コラム「素粒子」を執筆していたOB轡田隆史氏の言葉を何と聞く。<「木村社長自らが一面に登場して、潔く謝罪するべきでした。朝日の『従軍慰安婦』報道は決定的にひどい誤報です。(中略)何の説明にもなっていない記事を出してうやむやにし、時間が経過するのを待っているように思える。今の朝日は、醜態を晒し続けています」>

   さらに週刊文春は、われわれはこれだけ朝日新聞のスキャンダルをやってきたのだぞと「100連発の一覧表」まで出している。かつての編集長で現在は産経新聞の『正論』よりも右だといわれる『Will』の花田紀凱編集長まで登場させて「私が6年間で80本も朝日批判を載せた理由」を語らせている。

   中身はともかく、花田氏の写真はいつの? 40代の髪フサフサの頃のだろうが、今は71歳。たしかに元気だが頭は坊さんのようにツルツルだぜ。神は細部に宿るというのは週刊文春や週刊新潮がよく使ういい回しではないのか。

   さらにオヤ? と思うのは、かつてテレビ朝日・久米宏の「ニュースステーション」で鋭いコメントを発して人気があったSさん(本文中は実名)の「バナナ不倫」のことを持ち出していることである。Sさんが『AERA』にいる頃から私も知っている。朝日らしからぬおもしろい人だったが、「ニュースステーション」に出て人気が出始めた頃、週刊文春誌上で愛人に閨のことまで暴露され、テレビから消え辛い日々を過ごした。

   長いこと地方支局を回っていたが最近は東京に戻り、私も会ったが元気で、昔のSさんに戻ったようだった。

   週刊文春によれば5年前に件の愛人はがんで亡くなったという。2人の人生は彼女が週刊文春に告白したことで大きく狂っていったのであろう。だが、このスキャンダルは朝日新聞本体とは関係がない。朝日批判に引っかけて持ち出す話ではないはずだ。

名刺も出しにくい現場記者たち…いまや「朝日新聞」最大の危機

   週刊文春の特集の中で気になったのが、朝日新聞の現場の若手たちの声だ。20代社員がこういっている。<「これまでは『朝日新聞です』と自信を持って名刺を出せたけど、今は出しづらい雰囲気」>

   昔、ビートたけし軍団が『フライデー』編集部に乗り込んで傷害事件を起こしたとき、大新聞を先頭に写真誌批判が巻き起こった。その頃、編集部の若手たちがこう嘆いていた。<「取材相手に『フライデー』と名乗れないので、講談社といって会いにいっています。首尾よく会ってくれても、たけし事件やプライバシー侵害について聞かれ、取材になりません」>

   私はほかの部署にいたが、編集部員が自分のところの誌名を名乗れないような雑誌は潰すべきだと社内で主張した。編集部員が自分のやっている雑誌に誇りを持てなくなっては魅力ある誌面づくりなどできようはずはない。毎週10万部単位で部数が落ちていった。

   同じようなことが朝日新聞で起こらないとは限らない。沖縄のサンゴを傷つけて写真を撮った写真部員の不始末の責任を取って当時の一柳東一郎社長は職を辞した。社長が辞めることが最善だとは思わないが、今度のことは木村社長自らが決断してやらせたのではないか。これだけの批判を浴びているのだから、社内メールで戯けたことをほざいていないで、表に出てきて釈明した後、出処進退を潔くするべきだ。

   そうしなければ朝日新聞が今後、NHK批判や安倍首相批判をしても説得力に欠けてしまう。失礼ないい方になるが、これで朝日の人間が何か不祥事でも起こしたら、朝日離れは止めようがなくなるであろう。

   私は週刊文春や週刊新潮の論調にすべて組みするわけではない。だが、今回のことが戦後の朝日新聞の歴史の中で最大の危機だということは間違いない。

安倍内閣改造でヘビの生殺し石破茂「安倍さんは急ぎ過ぎです」まだまだ火種

   安倍政権初の内閣改造が発表され、5人の女性が登用されたことが話題になっている。なかでも小渕優子の経産相起用が注目されているが、私にいわせれば、この内閣は「消費税増税&原発再稼働内閣」である。

   それは財務省のいいなりの麻生太郎を留任させ、自民党内を抑え込むために消費増税を野田佳彦前首相と決めた谷垣禎一が幹事長に据えられたことでもわかる。

   週刊誌の報道によると、小渕は安倍首相が嫌いだということだが、もしそれが本当だとしたら、安倍はそうとう嫌味な人事をしたことになる。政府の原発政策も曖昧なまま再稼働に突き進めば、国会内だけではなく多くの世論を敵に回すことになる。それに彼女が耐えられるとはとても思えない。将来の総理候補などとおだてられている彼女がぼろ切れのように捨てられる日が来るのではないか。

   消費税を10%に引き上げることを安倍首相はすでに決めていると思うが、それには『週刊現代』でノーベル経済学賞受賞者のクルーグマン氏の批判が的を射ている。

   彼は「日本経済は消費税10%にすれば完全に終わる」というのである。<日本の経済政策の歴史を振り返ると、経済が少しうまくいき出すと、すぐに逆戻りするような愚策に転向する傾向が見受けられます。

   90年代を思い出してください。バブル崩壊から立ち直りかけていたところで、財政再建を旗印に掲げて、日本の指導者は消費増税に舵を切りました。これで上向いた経済は一気に失速し、日本はデフレ経済に突入していったのです。

   安倍政権がやっているのが当時と同じことだといえば、ことの重大性をおわかりいただけるでしょう。

   追い打ちをかけるように、いま日本では消費税をさらに10%に上げるような話が議論されています。そんなものは、当然やるべきでない政策です。もし安倍政権がゴーサインを出せば、これまでやってきたすべての努力が水泡に帰するでしょう。日本経済はデフレ不況に逆戻りし、そこから再び浮上するのはほとんど不可能なほどの惨状となるのです。(中略)そのために最も手早く効果的な政策をお教えしましょう。それは、増税した消費税を一時的にカット(減税)することです。つまり、安倍総理が増税したことは気の迷いだったと一笑に付して、元の税率に戻せばいいだけです>

   幹事長をはずされ地方創生などという訳のわからない大臣にすっ飛ばされた石破茂だが、『週刊朝日』での次の談話を紹介しておこう。

<「田原(総一朗=筆者注) 安倍政権ができて1年数ヵ月経つけど、採点するなら何点くらい?
   石破 70点くらいでしょう。優、良、可、不可でいえば、良じゃないですか。
   田原 なんで優に近づかないんだろう。
   石破 例えば集団的自衛権とか消費税とか原発再稼働とか、国民が喜ばないが国家のためにやらねばいけないことを、すごく急いでやっている。危機感、使命感があるからですが、それをきちんとご説明する時間がまだ足りない>

   これを読むと安倍と石破の安全保障に関する考え方が違うことがよくわかる。火種は残っているのだ。

テレ朝「報道ステーション」プロデューサー『自殺』福島原発事故を熱心に取材

   『週刊ポスト』は安倍首相の持病「潰瘍性大腸炎」の薬にはステロイド系とメサラジン系の2種類あり、安倍が使っているのは「アサコール」といってメサラジン系で副作用がステロイド系より少ないが、「アサコール」だけで症状が改善しないときはステロイド系を使うことがあると報じている。その副作用が歯痛や頻尿、顔のむくみに出てきてるといういうのだが、真偽はともかく、安倍首相にとっても第2次政権後初の「危機」をこれから迎えることは間違いない。

   先ほど、テレビ朝日の古舘伊知郎「報道ステーション」で福島第一原発事故のことを熱心に調べていたプロデューサーが『自殺』していたという情報が入ってきた。自殺の原因はわからないが、彼は福島の放射線量の問題を取材していて、私の友人のところに「文科省の発表している放射線量にはごまかしがあるのではないか」という話を聞きに来たことがある。結局それは放送されなかったが、そうしたことと自殺が関係あるのか、週刊誌ではどこが取り上げるのか、注目したい。

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