一途な夫、健気な妻...そうか木下恵介「喜びも悲しみも幾年月」天気予報版かあ!わざとらしいセットやシーンには興ざめ
<芙蓉の人 最終回>(NHK総合)

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   筆者は富士山にも登ったことがあるが、登山については偏見をもっている。どうせ下りて来るのになんで苦労して、時には命を懸けて山に登らねばならないのかと、登山家に聞かれたら殺されそうな考えの持ち主だ。だから一番苦手なのは新田次郎の山岳小説である。その新田の作品。明治時代に当たらない天気予報は高地での気象観測をしていないからだと、過酷な-20度の世界の富士山頂で気象観測をした野中到(佐藤隆太)と妻・千代子(松下奈緒)の物語だ。
   最終回は夫妻が重い病でも頑張ろうとするが、到の弟の口から病気が漏れて、気象台の和田(勝村政信)らが救出する顛末。到は栄養失調と凍傷で失明寸前、千代子も隊員に負われてようやく下山する。献身的に夫を支えた健気な妻の話で、ごくごく正統派の作り方だが、筆者は雪に埋もれた極寒の観測小屋の場面や、斜面の行軍も、どうにもセットがわざとらしくて興ざめだったのである。
   熱血俳優の佐藤と、「ゲゲゲの女房」でもそうだった健気な妻役の松下と、どこかで見たような話だと思ったら、大昔の木下恵介監督映画、「喜びも悲しみも幾年月」の灯台守の苦労話に似ていた。今の若い夫婦なら、夫が富士山頂滞在などを願い出たら、さっさと離婚だろう。今時一言も愚痴をこぼさず耐え忍ぶ女房なんて、鉦や太鼓で探してもいまい。駄目女がのさばるこの時代に、明治女の気概をドラマにして洗脳、啓蒙するつもりか。安倍筋の差し金かい?(放送2014年9月6日21時~)

(黄蘭)

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