J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

荒れる高齢者!「暴力事件の検挙者48倍」傷害負わせたり暴言浴びせたり...

<なぜ?シニアの『感情暴走』>高齢者(65歳以上)の暴言や暴力行為が急増している。「この20年間で傷害事件は9倍、暴力事件の検挙者は48倍になっています。しかも3分の2の人は初犯です」と瀬田宙大アナが伝える。若いころからの乱暴者が年を取ってきたというのではない。年を取ってから暴れるようになったのだ。高齢者に何が起こっているのか。キャスターの柳沢秀夫解説委員は「なんで増えているのか。環境や背景を見ないと解決できないと思う」と語る。

パジャマ忘れて病院で大暴れの会社会長

   都内の私立病院の従事者3万人のアンケートでも、高齢者から暴言や暴力を振るわれた人は44.3%にも上っている。主任看護師の田中章子さんもいわれなき暴力を60代の男性患者から振るわれた。

   検査入院で来院した男はパジャマを持参せず、「病院で用意してくれ」と言う。担当の若い看護師の「パンフレットに書いてあったと思うんですけれど」と言ったとたんに男はキレた。「ふざけるな。なんだその言葉は。上の者を呼べ」と怒鳴り始めた。謝りに行った田中さんを数回殴りつけて引き倒した。警察官が駆けつけると、男はある会社の会長とわかった。「普段は穏やかそうな人でしたけど」と田中さんは溜息をつく。

評価されていたころとのギャップが埋められない

   全国の病院トラブルを調査している筑波大学の三木明子准教授はこう話す。「患者さんに共通した傾向があります。自分を特別にして欲しい、診察の順番でも早くして欲しいと要求を通うそうとして暴言や暴力になります」

   元大学教授の白石正さん(72歳)は7年前に退職して悠々自適の暮らしだが、疎外感や孤独感を埋められずついトラブルを起こしてしまう。自治会の会議で数字の杜撰さに「デタラメなことしやがって」と怒鳴り、散歩道でバイクの若者のヘルメットに手をかけた。「ゆっくり暮らしていたら死んじまう。時間がないんだよ俺たちには」と言いながらも、「いまや普通のオジイチャンだからね。世の中から何も要求されていない。これが一番つらい」という。

   筑波大の斉藤環教授(精神科)はこう分析する。「社会で評価されていた自分と普通の人のギャップが埋まらないので疎外感が強く働いているんです。家族や友達、新しい自分のいい場所を探していかないと孤立感が膨らみます」

   たしかに、年寄りは怒りっぽいなんていうレベルを超えた事態が進んでいるようだ。

(磯G)