水道がなくなる!?耐用年数過ぎボロボロ...追い付けない自治体の施設更新
2014.10.18 12:00
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岩手・矢巾町「住民参加で更新の順位話し合い」病院・学校を優先
作新学院大の太田正教授は「更新投資は増収にならない。やるほど経営は苦しくなる。料金改定も議会の議決が必要で政治的になる。独立採算といいながら、経営の自律性が確保できないんです」と水道経営の矛盾をいう。
さらに、人口減少は数ではなく密度に関わる。まばらに住んでいれば効率は悪くなり、地形、水源など地域の要件が加われば負担は大きくなる。「地域の特性を反映できない仕組みになっているんです。バスを満員で走らせるか、ガラガラで走らせるかと同じですね」
岩手・矢巾町では全体220キロのうち毎年5キロが耐用年数に達する。もちろん、全部を更新する余裕はない。そこで6年前から住民の意見を入れた運営をしている。全世帯の1割にあたる1000軒がミーティングで水道問題を話し合う。
たとえば、「どの水道管を残すか」の優先順位。話し合いで、病院・学校など公的重要度、水道菅の太さなど5つの基準で点数をつけ、トータルで高いところから更新の優先順位をつけた。料金についても話し合う。お金の納得できる使い方、何をあきらめるか、はては水道はどうあるべきかに及ぶ。合意の上での運営だ。住民は「人が少ないところは、いざとなったら給水車とバケツでも済むんだから」と話す。なんと素晴らしい言葉。たとえガラガラのバスでもいつまでも走り続けてと祈りたくなった。
ヤンヤン
*NHKクローズアップ現代(2014年10月16日放送「押し寄せる老朽化 水道クライシス」)