届け先ない手紙受け付け!瀬戸内海小島の「漂流郵便局」亡くなった人への思い

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   自分の思いを届けたくても届けられない...そんな思いの丈を綴った届け先の分からない手紙を受け付ける不思議な郵便局が瀬戸内海の小島にある。香川県西部沖に浮かぶ粟島は人口300人の島で、古びた郵便局がある。といっても、正規の郵便局だったのは昔のことだ。今は「漂流郵便局」という異名をもらっている。その私書箱に宛先のわからない手紙の束が毎日のように届く。

芸術祭の出展作品だったはずが...

   手紙を預かる中田勝久局長は「過去、現在、未来、人、物、こと、何でも書いていただいて結構なんです」という。届いたハガキの宛先を見せてもらうと、「初恋の人様」「未来のだんな様」「祖父母の愛犬バン様」「天国に行った愛馬フローレンス号様」とさまざまだが、「一番多いのは亡くなった方へのお便り」だという。

......

   この不思議な郵便局が開設されたのは昨年(2013年)10月のことだ。アーティストの久保田沙耶さんが瀬戸内国際芸術祭に芸術作品として出展したのが始まりだった。91年まで業務を行っていた旧粟島郵便局舎を改装し、1か月の予定で出展した。中田局長も粟島郵便局時代の局長だった。

   ところが、芸術祭が終わったあとも多くの届け先のない手紙が寄せられようになった。漂流郵便局を作ったアーティストの久保田は「最初は美術作品だったが、だんだんフィクションがノンフィクションになってきて、これはきちんとお預かりすべきだと思ったんです」と話す。

   手紙は現在2800通。芸術作品の一部として展示され、差出人の了解をとって誰でも読むことができる。漂流する海を象徴する仕掛けとして、展示されている「私書箱」を回すと打ち寄せる波の音が聞こえてくる凝った演出も施されている。

「天国に行ったおばあちゃん、天国はどんなところですか」

   司会の夏目三久が1枚のはがきを朗読した。天国に行ったおばあちゃん、天国はどんなところですか。突然遠くへ行ってしまったので、十分なおばあちゃん孝行もできずとっても悔しいです...。3月に結納がきまりました。私が好きになった人に会わせたかったな。とても温かくて優しい人です」

   差出人は小さいころから成長を見守ってくれた祖母を突然交通事故で亡くした栃木県に住む酒巻ゆかりさん(28)だ。「人生最大の喜びを伝えたかった」のが手紙を書いた動機で、「文字に書くと、祖母がどこかで手にとって読んでいる姿が浮かんできます」と話す。

   手紙を朗読しながら夏目が涙を流した。「私も祖母を亡くしたばかりで、伝えたい思いがたくさんあった」

文   モンブラン | 似顔絵 池田マコト
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