「夢の超特急」開発話なぞっただけの超凡作―最もロマネスクな場面をスルー!最後まで怒鳴り続けた「物足らん」
<テレビ60年記念 妻たちの新幹線」(NHK総合)>

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   NHK名古屋放送局制作で芸術祭参加作品となれば、肩に力が入っているのは当然だが、結論から言えば、陰影のないつまらぬ建前ドラマだった。池田勇人総理時代の旧国鉄総裁・十河信二(伊東四朗)が民間に出ていた島秀雄(中村雅俊)を技師長として国鉄に呼び戻し、夢の超特急たる新幹線を走らせるまでの苦闘の物語である。
   ただのサクセスストーリーだとソッポを向かれるので、親子2代国鉄マンの島家の妻・豊子(南果歩)と十河の妻・キク(加賀まりこ)などの視点から描こうとした。この豊子がいつもニコニコ、料理は上手い、子供たちには太陽で、夫の散髪まで自分でやるスーパーウーマンに描かれていて共感できないし、秀雄はクールな技術屋ということだが、中村雅俊はとても研ぎ澄まされた切れ者の技術屋には見えないノホホン父さん。劇伴が通俗的でうるさいのも不可。
   筆者が1番疑問だったのは、苦労の挙句、ようやく走行テストにも成功して、いざ、完成という直前に十河総裁の退職とともに秀雄も国鉄を辞めるのだが、何で辞めたのか理由がサッパリわからない(脚本・大森美香)。しかも、昭和39年10月1日の東京駅での出発式にも招待されず。この説明もない。バカか。この裏に多分ドラマになるべき時代の空気や人生の闇があり、最もロマネスクな場面があったのに違いないのにスルーだ。南果歩のべチャっと甘ったれた発声も気になるし、最後まで物足りないと怒鳴り続けた凡作だ。(放送2014年10月25日19時30分~)

(黄蘭)

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