2024年 4月 25日 (木)

いきなりの解散突風!仕掛けは読売新聞ナベツネ?見るも無残なアベノミクス「やるなら今しかない」

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「増税先送りなら解散 首相検討 年内にも総選挙」「年内に解散する場合、衆院選は『12月2日公示・14日投開票』か『9日公示・21日投開票』とする案が有力だ」「GDP値が伸び悩んだ場合、増税先送りの判断と、アベノミクスの成果などを掲げて国民に信を問う考えとみられる。10%への引き上げは、1年半先送りし、17年4月とする方向で調整している」

   自民党内でも多くの議員が首を傾げていた解散・総選挙が現実となってきた。慎重だった朝日新聞もけさ13日(2014年11月)の朝刊1面で「来月総選挙へ 消費増税、先送り検討」と打ったが、冒頭にあげたのは11月9日付の読売新聞朝刊の1面である。

   新聞的にいえば「特ダネ」であるが、どうしてこうした断定的な書き方ができたのだろうか。『週刊新潮』によれば、この記事は渡辺恒雄主筆からの指示だったという。読売新聞政治部の関係者がこう語る。<「社説でも主張している通り、主筆は新聞に消費税の軽減税率を適用せよというのが持論です。それが無理なら増税を延期して、国民に信を問うべしというのですが、最近も甘利明経済財政相を招いた会合で主筆がこの話を切り出したことがあった。(中略)

   記事では、安倍総理が公明党の幹部に解散の意思を伝えたとありますが、実際の相手は創価学会の選挙対策責任者だと聞いています」>

   週刊新潮は「安倍総理の出血大博打」と書いているが、なぜ安倍首相はここへきて急に解散を思い立ったのだろう。それは10月末に政府の発表に先んじて報じられた民間シンクタンクの7~9月期の成長率予測が見るも無残な数字だったからだ。

<多くが2%台で、中には1%という社もあったのだ。このまま増税を強行すれば、来年秋以降の景気失速が現実になりかねない。再増税の見送りという噂が流れ出したのはこの頃からである>(週刊新潮)

   だが、安倍首相の周りは10%増税すべしという人間ばかりだという。官邸関係者がこう語る。<「いま、安倍総理を取り巻く官邸の主要メンバーは、菅官房長官を除いて、大半が『増税推進派』になっています。旧大蔵省出身の加藤勝信官房副長官はもちろん、経産省出身の側近秘書官まで増税を容認するようになっているのです。

   それと言うのも、10%の消費税増税を実現したい財務省が、官邸スタッフや増税反対の議員に対して総力で『切崩し』に奔走しているからです。これに業を煮やしたのか、11月上旬、総理が突然、『やりたいようにやっているな! 財務省の奴らは』と漏らしたことがありました。乱暴な口ぶりなので皆ギョッとしましたが、それはそれほど総理の身近なところまで財務省の息がかかっているわけです」>

   この官邸関係者によれば、増税の決定権をからめとろうとする財務官僚に対して、安倍首相は明らかに警戒しているようだという。しかし、なぜこのタイミングなのか。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が解説する。

<「官邸が解散・総選挙を考えているのは『いま解散したほうが得策だ』という計算もあるからです。つまり、このまま選挙をやると、自民党は現有の295議席から20議席は減らしてしまうかもしれませんが、それでも絶対安定多数を保てる」>

安倍首相の皮算用「自民党大勝無理でも単独過半数」そんなにうまくいくかな...

   いわれていることだが、増税を先送りするなら安倍首相が決断すればいいことである。何百億円も使って師走の忙しいときに選挙をする必要などない。小泉元総理の「郵政民営化イエスかノーか」解散も大義のない『わがまま解散』だった。選挙は大勝したが、小泉がいなくなったら民営化反対派が主導権をとり戻し、元の木阿弥になってしまった。そのとき当選した「小泉チルドレン」たちの多くも雲散霧消した。バカなことしたものである。

   週刊新潮は<後世の人たちは、これを何解散と呼ぶのだろうか>と結んでいるが、私は「自滅解散」と呼びたい。人間は過ちを繰り返すものである。安倍が第1次内閣で失敗したのも財務官僚たちが安倍の足を引っ張り、引きずり下ろしたからであった。閣僚たちのスキャンダルが次々に噴出して選挙はボロ負け、身体の問題もあって辞任せざるを得なくなった。

   安倍首相はアベノミクスが末期症状を迎えているところに財務官僚のいうがままに増税したら、日本中に怨嗟の声が広がり、また同様の辞任に追い込まれるという危機感があるのだろう。おととし暮れのような大勝は無理でも、単独過半数を維持できれば、増税を先延ばしにできると考えているはずだ。それほど財務官僚たちに怯えているのだろう。意気地のないことだ。

   安倍首相は特定秘密保護法や原発再稼働、憲法九条を蔑ろにしたことに対する国民の怒りを考えに入れていないのではないか。今回の全野党のスローガンは「ストップ・ザ・アベ」だけで十分である。『サンデー毎日』は「安倍自民は40議席減」と予測している。私はもっと減ると思う。

「安倍Facebook」目を疑う罵詈雑言!「〇〇議員を血祭り」「中国船撃沈」「北京原人射殺」

   さて、体調の問題もあるのだろう。安倍さんが国会など公の場で感情を露わにすることが増えている。11月4日の予算委員会では07年9月に週刊現代が報じた記事をもとに、安倍総理の過去の脱税疑惑を持ち出した吉田忠智社民党党首に対して、「全くの捏造です! まるで犯罪者扱いじゃないですか」と激昂し、議事を中断してしまった。だが、『週刊現代』によれば、この記事に対して「一切抗議や問い合わせ」はないという。

   週刊現代は安倍が世論の動向を広く見ようとしないで、「世論はネットを見れば分かる」と自分に都合のいい「世論」にしか目を向けていないと難じている。特に安倍のFacebookに支持者が毎日書き込んでいる文言は、一国のトップがこれを放置しているとは到底信じがたい、目を疑うような罵詈雑言ばかりだという。

「〇〇議員を血祭りに!」
「(反対勢力は)売国奴以外の何物でもない。きっと在日だよ」
「朝日なんて便所の落書き程度です。さっさと廃刊に追い込み土下座させましょう」
「密漁を行っている中国船を早く撃沈してください」
「中国朝鮮3国もろとも殲滅でいきましょう」
「早く核武装しましょう」
「野生動物 北京原人を射殺してください」

   週刊現代は<一刻も早く安倍総理はネット依存の政治から脱しなければならない>と結んでいるが、同感である。

   安倍首相はAPECが開かれている北京で、習近平国家主席とようやく首脳会談を行った。だが、合意文書を前もって公表するという異例の事態で、双方の考え方の隔たりが大きく、腹を割って話し合うというものにはならなかった。それは握手した二人の『氷のような』表情からもわかった。

   首脳会談について、安倍首相は嫌中・嫌韓のネット支持者たちにどう説明するのだろう。「習のやつが頭を下げてきたから仕方なく」などと事実を『捏造』するようなことは書かないだろうが、書き方ひとつでネトウヨが離れるかもしれないし、中国側を激怒させることにもなりかねない。ネットをやっている暇があったら、「隣人と付き合う法」という本でも読んだほうがいいと思うのだが。

日テレ内定取り消し笹崎里菜さん「強い意志とあきらめない夢」いい女子アナなると思うよ

   同じ週刊現代にNHKの朝のドラマ「花子とアン」でも注目を集めた東洋英和女学院大学の4年生、笹崎里菜さん(22歳)が、内定していた日本テレビから内定取り消しを受け提訴したと報じている。彼女は平成25年9月12日に日テレから平成27年度のアナウンサー職の採用内定を受けた。

   この笹崎さんの存在は「女子アナ通」の間ではすでによく知られていたそうだ。彼女は「2011年ミス東洋英和」に輝き、ファッション誌の読者モデルとしても活躍していた。その彼女がなぜ日テレの内定を取り消されたのだろうか。

   今年の3月、すでに内定者として研修を重ねていた笹崎さんが人事担当者に電話で告げたことが騒動のきっかけになった。「以前、母の知り合いの関係者が経営している銀座の小さなクラブで、お手伝いを頼まれて短期間アルバイトをしていたことがありますが、そういうものは大丈夫なのでしょうか」

   こうしたことをいわずに女子アナになる者が多いのに、彼女は正直に「過去」を話したのだ。だが、日テレの人間は笹崎さんに来てくれといい、こう告げたという。

「(アルバイトのことを)上に上げたら問題になってしまった。明日は人事部の部長、部次長から話がある。ホステスのバイトをしていたことがバレたら、週刊誌には好きに書かれる。笹崎は耐えられるか。これまで研修でがんばってきたことは知っているけど、それはいったん置いて、よく考えてほしい」

   さらに週刊誌などで騒ぎになったら、父親のところにも取材が殺到して、父親が会社をやめなければならなくなるかもしれないともいったそうだ。父親にそのことを話したら、心配するなといわれた。当然である。しかし、4月2日、日テレの部長から内定取り消しが伝えられた。

   彼女がホステスのアルバイトをしていた銀座のクラブというのは、スナックのようなこじんまりとした店で、彼女の母親の知人もカウンターの中で働いていた。特定社会保険労務士の今中良輔氏が疑義を呈する。

「この裁判は彼女一人のものではなく、社会に対する問題提起の側面を持っています。ホステスのアルバイトをしていた過去は、女性の将来を塞ぐことがあっていいのか。個人的にはあってはならないと思う。司法がどのような判断を下すか注目しています」

   一読して、何をバカなことを日テレはいっているのかと思わざるを得ない。氏家斉一郞氏が生きていたらこんなことはなかったに違いない。

   いまどきホステスやキャバクラのアルバイトをしていたから入社させないというのは、そうした職業を差別しているからではないのか。夏目三久(日テレ→フリー)のように、入社してからコンドームの箱をもった写真が写真誌に載り、騒ぎになったトラウマが日テレにはあるのだろうが、けつの穴の小さいテレビ局である。

   笹崎さんはアナウンサーになる夢を諦めることはどうしてもできないといい、こう続ける。<「この裁判は世間の皆さんに、女子アナという仕事について考えていただく機会にもなると思っています。大学時代にホステスのバイトをしていた女子アナは、受け入れてもらえないのでしょうか? 私の経歴は裁判によって公になります。その上で、もし私が女子アナになれたとしたら、批判も含めて、過去はすべて引き受けるつもりです」>

   週刊新潮もこの内定取り消しは「建前ではキレイ事でも本音は差別主義のテレビ局」「『日本テレビ』愚の骨頂」と批判している。

   裁判は11月14日から始まる。これだけ強い意志を持った女性なら、いい女子アナになると思うがね。

新聞・テレビはなぜ伝えない?「沖縄県知事選」自民党VSオール沖縄

   最後にひと言。16日に投開票を迎える沖縄県知事選挙は、週刊新潮によれば「投票1週間前の段階で、自民党の独自調査では仲井真候補約30%、翁長候補45%と、その差は15ポイントほども開いています」(自民党関係者)と翁長候補優勢のようだが、新聞を含めて沖縄関連の記事の少なさに私は怒りを覚えている。

   カネで沖縄の基地の固定化を永続的にしようとする自民党と、そうさせてはならじとする多くの沖縄の人たちとの「決戦」なのに、どこぞの村長選挙のような扱いである。どちらが勝ったかではなく、今度の選挙は沖縄のこれからを決める重大な意味を持っているのだ。私は、日本が変わるとしたら沖縄からだし、沖縄しかないと考えている。県知事選はその始まりになるのだ。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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