2024年 4月 24日 (水)

バクチ好きではすまない「ギャンブル依存症」家族は生活破綻やうつ病など精神疾患

勝つ快感とスリルを知った脳はもう元に戻らない

   では、ギャンブルにのめりこむ身内とどう接すればいいのか。ギャンブル依存症の息子への接し方を変えたことで回復につなげた母親がいる。母親は「ある日突然、自宅を売り払い、息子の前から姿を消しました。何度、息子に鬼といわれたことか。それでも、息子がパチンコ依存症から抜け出してくれればと考えました」と語った。

   母親が考え方を変えるきっかけになったのが精神科だった。担当した医師は、息子ではなく抑うつ状態だった母親を入院させ、治療することにした。精神科医・松元志朗氏は「ギャンブル依存症者は困っていないんです。治療の必要にも迫られていない。母親が困り果てているのでこちらの治療につなげるのが大事だったんです。家族が変わると、家族と本人の間の関係が変わります。すると、結果的に本人が変わるんです」と解説した。

   北海道立精神保健福祉センターの田辺等所長はこう話す。「ギャンブルで勝った体験が強烈なイメージになり、それが強烈な欲求になってきます。ほかのゲームでの快感があまり感じられなくなります。依存症の8割方はごく平凡なサラリーマン、公務員、主婦、大学生。家族はなんとか家族の力で立ち直らせ、再出発してもらいたいと思うでしょうが、それは問題を先送りすることになります。

   本人も反省はするが、ギャンブルに反応しやすくなっている脳の体質は治っていません。またなにかのきっかけでギャンブルに手を出すようになります。家族は一人で悩まないで、別の家族や信頼できる友人らに、自分の家庭にギャンブルの問題があると話すとか、インターネットで情報を検索されるといい。社会の中でギャンブルの依存症者を作ることは簡単ですが、それを回復させる仕組み、回復させる人を育てるのは大変なことです」

ナオジン

NHKクローズアップ現代(2014年11月17日放送「『ギャンブル依存症』明らかになる病の実態」)

文   ナオジン
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