「にぎわい革命」過疎なんて言うな!うちの町は元気だぞ...子育て世代が移住する小島、毎年80万人が訪れる農村

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   人口減少をどう食い止めるかは地方の最大の課題だ。安倍内閣も地方創生を掲げるが、これまで国の施策が成功した試しはない。この逆境に立ち向かう人々に着目した2回シリーズの1回目。地方の官民の新しい発想で人口が増加したり、にぎわいを取り戻した例を伝えた。

自立まで3年間、毎月15万円を支給

   島根県松江市から船で3時間、60キロの隠岐諸島にある海士町は、おととし(2013年)から人口が増加に転じた。子育て世代の移住で、生まれた子どもが亡くなった人を上回ったのである。「私は京都」「北海道で、妻は大分」などと答える。人口2300人の過疎の町にこの10年で437人の若い世代が移住した。保育園は子どもの声であふれ、移住者用の町営住宅建設は100棟を超えたが、追いつかない。

   町は全国に先駆けて「移住者支援制度」を作った。2年前に千葉から来てかきの養殖をしている男性(32)には、自立まで3年間、毎月15万円が支給される。起業を支援する独自の貸し出し制度がある。町が全国から支援者を募る。1口50万円で、利息は島の特産品。7年後に一括返済するのだが、払えなければ町が建て替えて保証する。この制度で農業、水産業、ITなど14の会社ができた。

   かきなどの海産物はアメリカ、ドバイ向けで、売り上げが2億円を超えた。地域経済が甦ろうとしている。

   山内道雄町長は自分の給与を50%カットしている。課長クラスもならって、年間2億円を捻出した。役場職員の給料は日本一安くなったが、職員は「町が生き残るためには人を呼び込まないと」という。「人づくりが成功すれば、全国に広がる。日本が変わる」と町長は明るい。

   全国の自治体にアドバイスをしている日本総研の藻谷浩介氏は、「20年以上も の努力の結果です。月15万円は生活保護費より安い。企業の新人教育への投資と一緒」と話す。「阪神淡路大震災以後、若い人の意識が変わった」という。かつてはみな都会を目指したが、いま都会の学歴の高い人の中に、手に職をつけて自然のなかで子育てをという人が増えている。「全国でも10本の指に入る悪条件の島ですからね、感無量です」

国際レベルのバレー専用体育館と産直市場

   岩手県の人口3万人の農業の町、紫波町は3年前、地域活性化の切り札としてある施設を作った。体育館と産直市場があり、隣が図書館。託児所も学習塾もあり、格安の音楽スタジオ、飲食店などテナントも入る。外は雪でも、中は別天地で、「オガールプラザ」は年間のべ80万人が訪れる「にぎわいの場」だ。

   計画は17年前だった。建設費は143億円で、国の補助金では足らず頓挫した。Uター ンで戻った岡崎正信さん(42)に声をかけて話が動いた。岡崎さんは旧建設省で全国の町づくりや駅前開発を担当していた。国の補助金頼りの大規模開発はほとんどが失敗だった。

   岡崎さんは民間の会社を設立して、建設資金も補助金ではなく銀行融資にした。銀行の厳しいチェックでコストは削減され、むだなものは作らない。建物は3階建てから2階建てに、内装も簡素になったが、建設費は45億円に抑えられた。

   維持管理も独特だ。年間1500万円のテナント収入を公共施設の維持管理に使う。産直市場に出荷している農家にも出資を求めた。市場運営に関わることで農家はやる気になった。「売れ行きが気になる。ものが足らないと夜のうちに準備もする」

   昨年(2014年)、7億円をかけて日本初のバレーボール専用体育館を作った。こだわったのは床だ。国際大会で使われる最高級の床材なので、全国のバレーチームの合宿を呼べる。ホテルも併設した。官民の連携による持続可能なにぎわいである。

   25歳から34歳の移住者が増えている都県が13あるそうだ。東京や愛知など大都市圏はわかるが、島根や岩手が出てくると「エッ」と思う。リポートは町だけで終わっていたが、県全体でも何かが動いているらしい。そっちも気になる。

ヤンヤン

*NHKクローズアップ現代(2015年1月5日放送「地方から日本を変える①まちを潤す『にぎわい革命』」)

文   ヤンヤン
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