2024年 4月 19日 (金)

<サンバ>
人種、境遇、好き嫌い...まったく違っても楽しくやろうぜ!シリアスなテーマ笑いでまぶしたフランス映画の真骨頂

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(C)2014 SPLENDIDO - QUAD CINEMA / TEN FILMS / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / KOROKORO
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   フランス映画「最強のふたり」の監督×主演が再びタッグを組んだ最新作である。国外退去を命じられた移民の青年サンバが、苦しい状況下でもユーモアと笑顔で人々を明るくしていくヒューマンドラマだ。

   料理人になることを夢見て、アフリカからフランスに移住したサンバ(オマールシー)は、ビザのうっかり失効で国外退去を命じられてしまう。そんなピンチの中、移民協力ボランティアのアリス(シャルロット・ゲンズブール)に出会う。彼女は「燃え尽き症候群」で休業中の元キャリアだった。

   他にも陽気な移民仲間のウィルソン(タハール・ラヒム)などが、サンバの裏表のない明るさに魅かれるように集まってくる。人種、境遇も全く違う人々が心通わせ、支え合いながら過ごしていたが、サンバの忘れようとしていた過去が引き金となり大事件が起こってしまう。

ブラックジョーク連発

   「最強のふたり」と同じく、境遇も価値観も違う人たちが徐々に心を通わせていく心温まるドラマである。フランス映画ならではのブラックな笑いや展開が散りばめられており、単純なヒューマンドラマには収まっていない。

   加えて、移民というテーマ性も色濃いため、「最強のふたり」ほど万人受けはしないだろう。しかし、国外退去命令を出されても故郷に帰るわけにはいかず、名前を何度も変えてひっそりとした暮らしを余儀なくされている人々の姿は、移民問題が身近ではない日本人にも響くものがあるだろう。そして、苦境の中で光る主人公サンバの明るさは、ヒロインのアリス同様に我々をも魅了する。

   オマール・シーの好演もさることながら、シャルロット・ゲンズブールの突然キレたりパニックを起こしたりする危うい魅力は必見。サンバとウィルソンの軽快なやりとりも見どころの一つといえるだろう。

おススメ度☆☆☆☆

野崎芳史

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