後藤健二氏だまされた?「湯川遙菜さん解放情報」戻ってきたのはガイドだけ

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   「イスラム国」が2人の日本人人質の映像をネットで公開し、2億ドルの身代金を払わなければ殺害すると脅迫した。安倍首相が表明した中東支援の2億ドルの拠出を「米に軍事的に加担した」というのだが、なぜ日本人なのか。

   人質の後藤健二さん(47)は戦乱の各地で、苦しむ民衆や子どもたちの姿を20年以上も伝えつづけてきたフリーのジャーナリストだ。昨年(2014年)10 月25日消息にを絶つ前、「何が起ってもすべて私自身の責任です」というビデオメッセージを残していた。

   もう1人の湯川遙菜さん(42)はシリアで軍事会社を作ろうとしていたというから、かなりのピンぼけである。去年4月に別の武装組織に捕まったのを交渉で解放させたのが後藤さんだった。湯川さんは懲りずに再度シリアに入り拘束された。

別のジャーナリストにもイスラム国からメール「日本人戦闘員がいる。取材しませんか」

   後藤さんの友人で、直前に電話で話したという栗本一紀さんは「湯川さんへの責任感だったのではないか」という。アドバイスを無視した湯川さんだが、1度は助けた人を見捨てられなかったというのである。それにしても、取材経験豊富なベテランがなぜのこのこ出かけたのか。何か情報でもあったか。

   ジャーナリストの安田純平さんは「あったと思う」という。安田さんがシリア人ガイドから受けたメールに、「イスラム国に日本人戦闘員がいるらしい。取材しませんか」とある。同じような「湯川情報」が後藤さんに送られていてもおかしくはない。

   後藤さんのガイドだったアラッディン・ザエムさんは、「危ないから止めろといったが、別のガイドと入っていった」という。その後に何が起ったかはわからない。ガイドだけが戻ってきて何も語らないという。

   やはりジャーナリスト常岡浩介さんはイスラム教徒で、昨年8月に「イスラム国」の幹部にラッカに招かれ、「湯川さんをイスラム法で裁く。それを記録して発信してくれ」と頼まれた。実現はせず湯川さんとも会えなかったが、常岡さんは「攻撃しない国を区別してるな」と感じた。だから、2人がビデオに登場したのを見て驚いたという。

タイミング計っていた「人質カード」安倍首相の2億ドルに反応

   英国王立防衛安全保障研究所のラファエロ・パントゥーチさんは、「イスラム国」が日本に身代金の金額と期限を示したことを「国家を交渉に引き込むのがねらい」と見る。イスラム国が砂漠のテロリストではなく、国家と話ができる組織であることを世界に示して議論を起す。「そこが狙いです」という。日本エネルギー経済研究所の保坂修司氏は「2人の日本人をどう宣伝に利用できるかタイミングを計っていたのだと思います。そこへ安倍首相の中東訪問があった」という。

   イスラム国による現地人の誘拐は日常茶飯事で、身代金は大きな収入源だ。石油の密輸出と支配拡大地の没収財産、産油国の富裕層からの寄付も大きかったが、昨年からの空爆で戦線が膠着し、すべてがじり貧になって存在感も低下している。

   保坂氏は「ライバルのアラビア半島のアルカイダがパリで事件を起こして、焦りがあったのかもしれない。今回の要求金額は(普通の誘拐とは)けた違いで、目的は金以外にあるのではないか」という。具体的には、プレゼンスの誇示、リクルート効果、湾岸諸国からの支援拡大・・・。これらのアピールに安倍発言は絶好のネタになったという見方だ。スピーチに挿入された「イスラム国対策」の一言がスイッチだったか。

   宗教、民族、部族、さまざまな対立と欧米への反感とが渦巻く世界である。「国」といってもアリババの盗賊と大差ない集団だ。交渉ルートがあるかどうかも定かでない。彼らがバカでないことを祈るしかあるまい。

NHKクローズアップ現代(2013年月日放送「なぜ日本人が標的に?~『イスラム国』の真相~」)

文   ヤンヤン
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