<残念な夫。>(フジテレビ系)
くたびれた倉科カナ・ノーテンキ玉木宏「子育て30代」妻と夫のイライラ、オロオロ・・・コミカルに描かれるシンドい現実にリアリティー

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   人間、だれもがみんなお母さんから生まれ、当然ながら赤ちゃんだったんだよね。だからそんなに子育てがたいへんなら、地球上にこんなに人類がはびこるわけないぜ。と、思うのよね。

   しかし目の前の現実は、なぜかたいへんなのだ。このドラマはコミカルに作ってはいるが、30代前半ぐらいの出産・子育て期の男女が直面するシンドさがなかなかリアルに描かれている。当事者、とくに妻が見れば「そうだよね、そうだよね」とヒロインに大いにシンパシーを感じるだろう。

   結婚だけなら、それぞれ自分のことはできる大人どうしが対等に暮らしていくことも可能だ。しかし、赤ちゃんという、自分ではまったく何もできず四六時中だれかの保護を必要とする存在が出現したとたん、均衡は根底から崩れる。その時、無力な存在を含めた関係を土台から構築し直さなければならないのだが、それはなかなか難しい。

   まず現代では、たいていの人が、自分の子供が生まれてみるまでは身近に赤ちゃんがいない環境で育つ。そして生まれてみて、ハタと気がつけば、周りに一緒に対処してくれる人がだれもいない。自分が全責任を持たなければならないフニャフニャの未知の生き物を抱えて、荒野に一人立ち尽くしている状態。呆然とするのも当たり前だ。

これじゃあ少子化も当たり前・・・イクメンで解決するほど甘くないぞ

   妻・知里(倉科カナ)は授乳しながら、昼も夜も赤ちゃんから片時も離れることができず寝不足、髪はクシャクシャ、着ている物はヨレヨレ。一方、夫・陽一(玉木宏)は独身時代からの趣味であるプロバスケットをテレビで観戦、選手のユニホームなどの高いグッズをネットで買ったりして、いい気なものである。さらにけしからんことに、「子供が生まれてから、どうも自分の地位が下がったのでは」などと思っている。

   この辺の意識の差が妻をいらだたせ、夫もようやく事態の重大さに気づいてゆく、というわけだが、夫が改心して(?)イクメンになればうまくいくほど、ことは簡単ではない。

   そもそもヒトは何万年もの間、一族郎党、数十人で集まって協力し、やっとのことで生き延びてきた弱い動物なのである。それがたかだか100年や200年で、若い親と幼い子供だけで生きてゆけるように進化したはずもない。長年の習性と現状との隔たりが若い世代への重圧となっていると考えれば、少子化するのも当たり前だ。

   なお、このドラマでは妻は専業主婦だが、今や出産後も妻が会社員として働き続けるカップルが増えており、それによって生じる摩擦も加わっているケースも多い。脇にもう一組、そういうカップルが登場してもよいのではないか。待てよ、それではあまりに深刻化してしまい、コメディにならないのかもしれない。(ほうそう水曜よる10時~)

(カモノ・ハシ)

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