ああ、世の中腹が立つ・・・笑いでのめせ「川柳」人気!女子会、シルバー、非正規など新ジャンル

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「アーンして むかしラブラブ いま介護」

   わずか五・七・五の中に人生の機微を歌う川柳の人気が若者から高齢者までジワジワと拡散しているという。シルバー川柳と題した本は累計60万部を超える大ヒットとなり、最近は「女子会」「オタク」「非正規で働く人」といった新ジャンルまで生まれている。

「調子どう あんたが聞くまで 絶好調」

   女子会川柳を街を歩く同世代の女性に見せると、「分かる分かる」「あるある」という。

「歯をなくし 蕎麦の喰い方 粋になり」

   シルバー川柳にも同じ中高年は「そうそう」「あるある」

   落語家・桂文珍はこう分析した。「かつては縦の権力者が権力のない下に向かって嘲笑する時代があったんです。それがいつの間にか『自笑』、つまり自分自身を横において『俺っておかしいよな』と発信すると、『そうそう』『あるある』という横の笑いになったんですね。縦よりも横のほうが笑いのボリュームが大きいんですね」

10人のうち2、3人しかわからない優越感

   国谷裕子キャスター「いろんなジャンルの川柳が生まれています。サラリーマン川柳と今とでは違いがありますか」

   イラストレーターで、長年、サラリーマン川柳の撰者を務めた山藤章二氏は「約20年ぐらい、何万という川柳を見てきますと、妻の悪口とか『出迎えてくれるのはポチしかいない』とか、だんだんパターン化してきたんです。ここへきて、いろんな階層、空間に広がったことで、句のエッジが効いてますね」

   国谷「わかる人にはわかるけど、わからない人にはわからない、と」

   山藤「10人のうち2、3人しかわからないという方が優越感が醸し出されるんですよね。それを昔の人は粋と捉えたんでしょうね」

   川柳が誕生したのは今からおよそ250年前の江戸・浅草だ。風景などを詠む俳句に対して、川柳は暮らしの中の人情を表現する身近なものとして人気を集めた。撰者だったのが柄井川柳である。

   川柳が別の力を見せたのが、日本が戦争へと向かった時代だった。「戦争賛美」一色の風潮の中、権力を笑いにくるんで皮肉る「反戦川柳」が数多く作られた。「批判や不満を言ってしまうことは許されない。許されないからこそ、大衆性を持っていたんでしょうね」(文芸評論家の楜沢健さん)

   戦後は競争社会の中で自虐的なサラリ-マン川柳が生まれた。たとえば、「この俺に あたたかいのは 便座だけ」。その10年後にはOL川柳が登場して、「『付き合って』 残業以外で 言われたい」

   2000年代に入ってからはワーキングプア川柳も生まれた。「すべり台 急降下して 寝る路上」。さらに、婚活川柳、ブラック企業川柳など細分化が進んで今を迎えている。楜沢さんは「吐き出したくてしょうがないことが社会の中に充満してきたということでしょうね」と話す。

山藤章二「俳句より川柳のほうが高度なテクニックが必要なんです」

   笑いを追求してきた関西大学の森下伸也教授はこう言った。「笑いそのものがすごい喜びですが、それを共有することで、喜びの2乗みたいになって、日々の辛さも共有できるんだと思います」

   山藤「たった17の音の中に万感を込めるなんて、世界の言語文化の中にないと思います。しかも、俳句はウケなくてもいいけど、川柳はウケなきゃならない。川柳のほうが高度なテクニックが必要なんですね」

   国谷「高度だけれど『たかが川柳』と思われてることろもありますよね」

   山藤「そこが大事なところでね、感情のまとめ方に『喜怒哀楽』という4つの言葉があるでしょ。『笑い』はそこに入らない。笑は埒外。それがエネルギーとなって、『じゃ、もうひとひねりしてやろう』ということになった。それがパワーなんです」

   どうです、腹が立ったら一句ひねってみましょうよ。

ビレッジマン

NHKクローズアップ現代(2015年2月16日放送「自虐?反骨?川柳で今を笑う」)

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