2024年 4月 19日 (金)

<ゴーストライター>(フジテレビ系)
中谷美紀13年ぶり連ドラのトホホ感・・・見続けるのがつらくなる「ネタバレ」「地味」「キャラに魅力なし」

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   斬新なテーマを追求した姿勢は評価できるが、「ネタバレ」「地味」という宿命に加え、「キャラに魅力なし」の三重苦。中谷美紀は13年ぶりの連ドラ主演だそうである(前作は何だったのだろうと調べたら「恋するトップレディ」だった。うーん懐かしい)。映画や単発ドラマが出演作の中心となっている中谷美紀の、作品を選んでいる雰囲気、一筋縄ではいかなそうな感じから、制作陣も気合が入ったのだろう。今までにない斬新なテーマで、中谷美紀を存分に生かせそうなものをと考えた末に、「ゴーストライター」になったのか。

   あまり気のりしないままに見てみたけれど、これが想像以上につらい。端々ににじみ出る「トホホ感」はどこから来るのか、考えてみた。

オチもひねりもなく予想通りに進むストーリー

   ヒット作品を連発する売れっ子作家、遠野リサ(中谷美紀)のアシスタントをしていた川原由樹(水川あさみ)がリサのゴーストライターとして活躍し、やがて二人は対立していく。と書かなくても、この二人が白と黒の服を着てマウスの上で手を重ねている公式ホームページの写真を見るだけで想像がつくストーリーである。

   そんなネタバレ必須ドラマだからなのか、開き直って全編ネタバレだ。雨の中で二人で殴り合うシーン、リサの土下座で「原稿をください」と懇願するシーン・・・ことごとく最初に見せてから、時が戻ってドラマが進む。

   同じフジテレビの月9「デート」も日付が行ったり来たりする仕立てだが、あちらが視聴者を心地よく裏切るオチを見せてくれるのに比べ、こちら見事なまでに何のひねりもないところが逆に驚きだ。

   そして小説家というテーマなら避けられない「絵的に地味」という問題も抱えている。基本、パソコンの前に一人で座ってカタカタとタイプしていくものであるため、派手にしようがないものの、書けない時は真っ白な画面を前にため息をついたり頭を抱えたり。筆が乗っている時は画面いっぱいに大小の文字がタイプされたものが踊るという、これまたひねりのない演出である。

   とりあえず華を添えておこうとばかりに、編集部に置かれた美男美女(三浦翔平と菜々緒)もいるが、菜々緒がファーストクラス編集部から転職してきた川島レミ絵さん(沢尻エリカ主演のドラマ「ファーストクラス」での役。フジテレビ2014年放送)に見えて仕方ないことの他には印象に残らない。

本編よりハラハラする本家ゴーストライター新垣隆のドラマ評

   致命的なのは登場人物および台詞に魅力がないことだろう。リサは由樹との対立が明らかになった途端、ゴーストライターの話を持ちかけた出版社の編集長(田中哲司)に「あなたが引きずり込んだのよ」と抱きつきながら言ってみたり、介護施設にいるお母さん(江波杏子)のところへ行っては「私がこんなになったのはみんなお母さんのせいよ」と罵ってみたり、何かと人のせいにしてばかり。

   挙句の果てに「ゴーストライターなんか使わなきゃ良かった」ですと。ゴーストを使うことに後ろめたさを感じつつ、どんどんヒット作を書いてくれる由樹に甘えていた結果、訴訟という事態になった時に言うんだけど、なんかさあ、もうちょっと他にあるでしょうよ、後悔の台詞って。直球すぎるだろ! そんな浅はかな人が本当に面白い小説書いてたのか。設定に説得力がない。

   対する川原由樹も「先生が私を引きずり込んだんです!」とゴーストライターになったことをリサ同様に人のせいにし、何かとヒステリックに叫びまくり、気に入らないことがあると急に姿を消すわ、映画の試写会の席でゴースト告白をしてみるわ、法廷でわかりやすく失神してみるわ。とにかく粘着質な暗い女だ。

   作家とゴーストの依存しつつも対立する関係を描こうとしているのだろうけれど、「どっちもどっちだな(勝手にやってろ)」としか思えない。

   余談だが、番組HPを見ると、「あの新垣隆さんが、ゴーストライターを語る!」というコーナーがあり、ご丁寧に新垣さん(聴覚障害の作曲家としてもてはやされた佐村河内守のゴーストだった人)は毎回ドラマの感想を動画で述べているのだが、完全に出来の悪いバラエティ感覚でいじられていて、本編よりよっぽど見ていてハラハラした。

   ドラマの感想を聞いているはずなのに、「結婚はしてますか」「好きな女性のタイプは?」。それにいちいち赤面し、「結婚はしていないんです」「中谷美紀さん、素敵ですよね」と真摯に答える新垣さん。いい人なんだなあ。番組関係者の悪ノリをわかってあえてやっていると思いたい。(放送火曜日よる9時~)

(カモノ・ハシ)

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