家を壊せ!原発帰還困難住民が迫られる非情・・・「被災家屋等の解体」
ふるさと復活あきらめる住民たち・・・「戻りたい」は17・6%に激減
4年の歳月が突き付けた「帰りたくとも帰れない」厳しい現実は、この夫婦だけではないだろう。浪江町が行った住民のアンケート調査から住民の揺れ動く心が浮かび上がってくる。原発事故から8か月目の11年11月調査では「条件が合えば戻る」が64.1%だったが、昨年8月の調査では「戻りたい」は17.6%に激減した。
国谷裕子キャスターの「自宅を解体するかどうか、国は被災者に対し大きな決断を迫っていますが、これでいいのでしょうか」という問いに、NHKのアンケート調査に協力した心療内科医で早稲田大学の辻内琢也准教授と阪神淡路大震災を経験した作家の真山仁が答えた。
辻内准教授「申請期間は3か月と聞いていますので、非常に短い期間で決断を迫る本当に酷なことだと思います。被災者たちの思いを除外し、復興を優先させる行政の動きだと思います」
真山氏「行政が考える帰還は、放射線量を少なくし、インフラを整備することなのでしょうが、多くの人たちにとっては、仕事を持ち、家族と団らんし、欲しいものを食べるという日常生活に戻ることが帰るということです。このギャップが大きくなっている。家こそ帰る中心、核なんです。3か月間で決断してくれというのは、思いやりが足りないと思いますね」
その思いやりの心が歳月とともに薄れていく背景とはなんだろう。東京五輪までに復興のメドをつけ、おもてなしの心で迎えたいという焦りでなければいいが。
モンブラン
*NHKクローズアップ現代(2015年3月11日放送「『帰りたい... 帰れない...』~福島の避難者 それぞれの選択~」)