敗戦の年の「紅白」GHQの無理難題、小道具のリアリティ・・・さすが楽しませたNHK自家薬篭中ドラマ
<紅白が生まれた日>(NHK総合)

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   放送90年の記念番組。敗戦後の昭和20年、GHQの接収下、あらゆる番組制作に煩い検閲が入っていた。復員してきた新藤(松山ケンイチ)は検閲にも通る新しい音楽番組作りを命じられ、男女に分かれての歌合戦を思いつくが、「battle」という言葉が駄目だと日系アメリカ人の通訳、ジョージ・馬淵(星野源)らに命じられる。
   結局、紅白音楽試合として実現するが、検閲を通った台本通りでなければならないと制約だらけ。大晦日の夜、生番組のスタート後に、白組の歌手のディック・ミネが横須賀の米軍基地で呑んでいて来ず、時間が余る。白組司会の古川ロッパと紅組司会の水の江瀧子に時間を伸ばして歌わせようとしても、台本変更はまかりならぬ。
   身内を失った並木路子は明るい笑顔では歌えないと出演を断るとか、それまで戦意高揚の歌ばかり歌わされていた童謡歌手の川田正子に明るい「汽車ポッポ」を唄わせようとか、それぞれ聞きしに勝るゴタゴタのディテールが大変面白い。
   また、出色なのは旧放送会館の内部の小道具のリアリティで、これはNHKに資料が山ほど残っているはずで、CGによる焼け跡との合成も不自然さはなかった。当時「日本人の精神年齢は12歳」とマッカーサーにバカにされていた通り、羊のように従順に進駐軍の言いなりだった、この頃の成人男性たちの鬱屈ぶりがわずかだが伝わってきた。終戦直後はほとんどの男性が丸坊主だったが、長髪が多いので違和感があった。(放送2015年3月21日21時~)

(黄蘭)

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