2024年 3月 29日 (金)

株価2万円相場―週刊誌・株記事どれ信じる?「煽り派」「懐疑派」「関心ない派」

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   株価が2万円を超えそうな勢いである。株の記事では週刊誌の色分けがハッキリしてきた。株が上がるぞ、6万円もあるぞと鉦や太鼓で囃し立てる「煽り派」は『週刊現代』。『週刊ポスト』と『週刊新潮』は「懐疑派」だ。『週刊文春』と『フライデー』はほとんど取り上げていないから「関心ない派」と3つに分けられる。

   今週も週刊現代は「日本株爆買い インサイダーたちの情報を公開する」。週刊ポストは「それでも『アベのベア』は99%のサラリーマンには『賃下げ』だった」と冷水を浴びせ、週刊新潮は「『日経平均2万円』という濃霧を歩く『羅針盤』情報」と株は買いかもしれないが、ひょっとすると大暴落もあると、読者からすると「いったいどっちなんだ、ハッキリせいよ」とひと言いいたくなる作り方である。週刊文春とフライデーには株を扱った特集はない。

   ほんもののインサイダー情報など取れるはずはないが、もしやと思って読んでみたが、案の定、証券アナリストや証券会社の紐付き評論家たちのあらま欲しき「ご託宣」でしかなかった。週刊現代によれば、トヨタ株やパナソニック株はもはや買いではなく、銀行、証券、不動産株が「次に買われる銘柄」だそうだが、興味のある方は買ってご覧あれ。

   週刊ポストの記事は直接株を扱ったものではないが、私にはこちらのほうが説得力があると思う。それに「アベのベア」はうまいタイトルだ。メディアは大企業のベアが上がったことや来年度の採用人数を増やしていることを取り上げ、さも景気がいいかのようにアベノミクスをヨイショしているが、週刊ポストがいうように、ほとんどの企業やサラリーマンには他人事である。

   週刊ポストはベアをパーセントに換算した表を載せている。たしかにトヨタは1・14%アップ、日産が1・4%、大林組が1・2%、東レが 0・9%アップとなってはいるが、その一方で、最新の消費者物価指数(食品、エネルギーを除く総合)は前年同月比で2・1%上昇しているのだ。相澤幸悦・埼玉学園大学教授がこういう。

   <「物価が2~3%上がっている状況下では、それに追いつく賃上げなど到底実現しません。大メディアは過去最高のベアと報じていますが、アベノミクスの恩恵を受けているはずの大企業でさえ、賃上げは物価上昇に追いつかず従業員の実質賃金はマイナスとなっているのが実態です」>。週刊ポストがいうように、<つまり「過去最高のベア」と報じられている数字は、実際は「賃下げ」に他ならないのだ>

   週刊新潮は先週取り上げたように、5頭の「クジラ」が東京株式市場を遊泳していて、2万円を突破するのは通過点で、さらなる高みを目指せると豪語する証券アナリストたちの声を載せてはいるが、本音は<現在の急激な株高に、あの80年代後半のバブル崩壊直前の危険な匂いを感じ取っている専門家もいる>というところにある。

<「所詮、日本株の売買の7割を占めるのは、海外投資家です。その主力であるヘッジファンドの決算期は5月が多い。決算までに利益を確定するため買い進んだ株式を売り抜けます。2年前の5月は、ある大手ヘッジファンドが大量の日本株を売り、それに引きずられて日本の金融機関も一斉に売り出したので、日経平均が大暴落した」(RFSマネージメントチーフエコノミストの田代秀敏氏)>

   さあ、あなたはどの週刊誌を信じますか。

ウルグアイ大統領の国連演説絵本が売れてる!?「貧乏とはもっともっとと欲しがることである」

   私は知らなかったが、こういう絵本が売れているそうだ。タイトルは「世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ」(汐文社刊、くさばよしみ・編、中川学・絵)。3月1日に退任したばかりのウルグアイの大統領で、ホセ・ムヒカさんという。この本は彼が12年6月20日、国連の「持続可能な開発会議」で行った演説内容をそのまま絵本にしたものだそうだ。

   当たり前の内容だが、こうしたことを国連で話したというのがスゴイ。安倍首相も4月にアメリカへ行って議会で演説するなら、参考にしてみてはいかがだろう。だが相当な覚悟がないと、言えないだろうが。

<人より豊かになるために、情け容赦のない競争心を繰り広げる世界にいながら、「心を一つに、みんな一緒に」などという話ができるのでしょうか。だれもが持っているはずの、家族や友人や他人を思いやる気持ちは、どこに行ってしまったのでしょうか>
<世界を襲っているのは、じつは欲深さの妖怪なのです><貧乏とは、少ししか持っていないことではなく、限りなく多くを必要とし、もっともっとと欲しがることである>

   この約10分のスピーチが終わった後、スタンディングオベーションが起こり、拍手が鳴りやまなかったという。

   ムヒカ氏は1935年生まれ。60年代からゲリラ活動に参加して4度逮捕され、2度脱獄した経歴を持つ。壮絶な半生を送った後、09年11月の大統領選挙で勝利し、10年3月に大統領に就任したそうだ。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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