2024年 4月 20日 (土)

地球外生命ついに発見!?火星の衛星地底に可能性・・・日本の深海調査技術で確認

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   この宇宙に地球外生命は果たして存在するのか。その答えに大きく迫る発見が先月(2015年3月)発表された。土星の衛星エンケラドスはマイナス200度を下回り、分厚い氷に閉ざされていて「死の世界」と思われていたが、生命の生存を可能とする熱水活動の証拠が見つかったのだ。

   論文を発表したのは世界5か国から集まった科学者たちで、なかでも中心的な役割を担ったのは日本人だった。カギとなったのは、日本が30年近く前から続けてきた深海での熱水調査である。海で培った経験が宇宙での生命探査に重要な役割を果たした。

吹き出す熱水周辺に有機物発生か

   これまで宇宙の生命体調査は、太陽からの距離が地球に比較的近い金星や火星を中心に行われてきたが、それは失望の歴史でもあった。生命誕生には「熱」「水」「有機物」という3つの要素が必要とされるが、金星は太陽に近く暑すぎるし、火星は乾ききっていて水は見つからなかったからだ。

   ところが、2005年、NASAの探査機がエンケラドスの南極付近から氷の粒子が噴き出しているのを撮影した。吹き上げの高さは表面から100キロにも及んでいた。「ひょっとすると、エンケラドスの内部には熱が存在し、氷が溶け出しているのではないか」

   証拠を得るため、NASAは噴出物の中に探査機を突入させ繰り返し分析を行った。その結果、「シリカ」という宇宙空間には存在しない水晶の成分が見つかったのだ。しかし、科学者たちにはその謎を解き明かせなかった。そのとき重要な役割を果たしたのが、深海の研究を続けてきた日本の若い人科学者2人だった。

   東京大学准教授の関根康人さん(36)と海洋研究開発機構の渋谷岳造さん(36)が「シリカ」の謎に挑んだ。「シリカは深海の熱水のような環境でできるのではないか」と考え、再現実験を行った。成功するまで3年。ようやく「シリカ」の微粒子を作ることに成功し、エンケラドスの地下には海が存在し、海面から100度近い熱水が噴き出していることを証明した。これで生命に必要な「熱」と「水」が揃った。関根准教授は「生命か、あるいは生命に非常に近い機能を持ったある種の生物のような物がいてもおかしくないんじゃないかなと思っています」と話す。

日本独自の微粒子採取プロジェクト「たんぽぽ計画」

   国谷裕子キャスターの「どんな生命がいると考えられますか」という質問に、海洋研究開発機構の高井研さんが答えた。「われわれのような目に見える大きな生物ではなく、地球の深海の熱水の周りにいるような『暗黒の生命』とよく似た生命が、エンケラドスの氷の下で生きている可能性が見えてきます」

   宇宙空間の微粒子を直接採取しようという日本独自のプロジェクトも動き出している。JAXA筑波宇宙センターの「たんぽぽ計画」だ。たんぽぽの綿毛のように宇宙空間に漂うチリを採取する計画であることから、この名前が付けられた。

   生命科学者の山岸明彦氏は「宇宙から来た微粒子の中に有機物があるということになれば、地球で生命が誕生する前に宇宙から有機物が来たことが確かになってくるということだと思います」と話す。

   国谷「地球外生命が直接採取できる時代になってきたということですね」

   高井「地球外生命の発見は研究のゴールではないんです。生命がどのようにして地球に誕生したのか。同じ生命がほかの星でも同時に誕生していたならば、地球の生命誕生のシステムは必然だった。ところが、別々の生命が誕生していたならば、生命が誕生するシステムにも多様性があって、その中でそれぞれの環境に適した生命が選択されたというシナリオが見えてくるということだと思います」

   たんぽぽ計画のロケットは14日(2015年4月)早朝にアメリカのケープカナベラル空軍基地から打ち上げられる予定だったが、天候不順で1日延期になった。

(ビレッジマン)

NHKクローズアップ現代(2015年4月13日放送「ついに発見!?地球外生命に挑む科学者たち」)

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