2019年 5月 25日 (土)

JR福知山線事故10年―遺族と加害企業が続けた異例の対話「責任追及より息子はなぜ死んだのか知りたい」

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   JR西日本の福知山線脱線事故から10年がたつ。この間、JR西日本と遺族の間で「異例の対話」が重ねられてきた。遺族とJR西日本が同じテーブルにつき、事故の原因究明のためにこれまで27回、去年の春まで4年間続けられた。

   そもそものきっかけは国の事故調査委員会の報告だった。事故調が指摘したおもな事故原因は、(1)運転士のブレーキ操作の遅れ(2)懲罰的な日勤教育(3)余裕のないダイヤ(4)自動列車停止装置ATSの遅れの4点だった。このうち「直接的な原因」として(1)(2)は指摘されたが、(3)と(4)は間接的として重要視されなかった。

   事故で息子を亡くした木下廣史さんはこれに疑問を感じた。事故後2年間の出発時刻と到着時刻を記録した。すると、事故後にダイヤが改正されたても到着・出発に遅れのあることが分かった。「JR西日本は反省してないのではないか。どうすれば向き合わせられるか」と考え、同じ遺族の淺野弥三一さんに相談した。淺野さんが考えたのは、責任追及しないことを前提とした遺族とJR西日本の共同作業だった。「責めやしない、責任をどうのこうの言わないとしました。冷静に話をしようよということで始めたのです」

「安全というのは99点じゃためだ。100点じゃないと・・・」

   共同作業に参加したのは7人の遺族と、JR西日本の安全に関する部門の責任者だった。JR西側は初めから驚かされることになる。遺族側の態度があまりに冷静だったからだ。JR西日本技術企画部長の平野賀久さんこう語る。

「事故を起こした責任者が目の前にいるんです。私が逆の立場だったら憎くないわけがない。しかし、(遺族の方たちは)憎いという感情を乗り越え、なぜ死んだのか知りたいということでした。凄いことだと思いました」

   しかし、同じテーブルについたものの、安全に対する考え方は大きく違っていた。転機になったのは運転士30人へのアンケートだった。運転士たちに「列車遅延をストレスと感じるか」と問うたところ、「かなり感じる」「非常に感じる」は3人で、1割に過ぎなかった。間崎光一郎運転士課長は「大多数が大丈夫ということで、やっぱりと安心しました」

   ところが、遺族の捉え方は逆だった。「データの見方が逆だろうと思いました。10分の1だろうと100分の1だろうと、巻き込まれた側はそれがすべてなんです。命を奪われているんです」

   間崎さんは「言われた瞬間、恥ずかしいと思いました。安全というのは99点じゃためだ、100点じゃないとと、ものの見事にご指摘を受けたという状況でした」という。

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