2024年 4月 25日 (木)

リタイア対策「アパート経営」パックリ口開けてる落とし穴!入居者集まらず家賃保証もウヤムヤ

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「アパートを建ててみませんか」「マンション経営をしてみませんか」

   自宅や会社にひっきりなしに誘いの電話がかかってくる。ちょっと耳を傾けてみると、「税金対策にもなる」という。「そんなうまい話はないだろうに」と思うが、やはりうまい話ではなかった。

   新たなアパート建設は3年連続で増加していて、昨年は36万戸に上った。「更地で置いておくより、固定資産税や相続税を節約でき、副収入も得られる」として、どんどん建てられているのだ。このうち、交通の便など立地の良いところは目論見通りアパート経営に成功しているが、これはホンの一握り。実際は日本各地で空き部屋が増えていて、現在は429万戸、全体の5分の1にもなる。それでもなぜ新築アパートは増え続けているのか。

全国の5分の1が空き部屋!「満室にならなくても保証しますと言っていたのに・・・」

   クローズアップ現代が調べてみると、新築アパートの半数以上が「サブリース契約」によるものだった。契約の仕組みはこうだ。住宅メーカーや不動産会社が空いた土地の持ち主にアパート建築を持ち掛ける→持ち主は一括して借り上げてもらい、募集・集金などの管理をまかせる→さらに「空室でも家賃保証」という文言。こうした中、当初は『保証』されていた家賃が支払われないなどのトラブルが相次いでいる。

   群馬県高崎市に住む小出銀次郎さんもそんな『被害者』の一人だ。高齢のため畑の一部の作付をやめたが、そのままだと土地にかかる税金が大幅に上がり、相続税にも頭を痛めていた。そんな時、大手不動産から「税金対策になる」という話を持ち掛けられた。「一般のアパートは家賃収入が不安定だが、サブリース契約なら30年は固定する」という。

   小出さんは1億円を借金してアパート建てた。ところが、周りにも次々と新築アパートが建てられ、入居者が減って、いまは18部屋のうち3分の1が空き部屋だ。すると、今年3月(2015年)、不動産会社から「家賃保証の金額を下げたいと」という申し出があった。

   「保証する」としていた家賃がなぜ下げられるのか。ここに落とし穴があった。契約書には確かに「契約期間は30年」と書かれていたが、「保証する」としていた家賃収入は、実は「10年を経過した時点で2年ごとに改定する」となっていたのだ。妻の小出みよさんは嘆く。

「(家賃が)下がることがあるんだっていうことを会社側から言われれば、自分たちだって思わないこともないけど、『満室にならなくても保証します』と言ってるんだから、保証すると思うじゃないですか」

   「サブリース契約」のトラブルの多くは「減額されるリスクについて説明を受けていない」というものだ。営業の現場ではどんな説明が行われているのか。NHKは勧誘を受けた人が録音したテープを入手した。そこにはこんなやりとりがあった。客が家賃収入が下がる不安を口にしたときのことだ。勧誘員はこう明言した。「私の説明を聞いてましたか。家賃は間違いなく入ります。そのへんの不動産屋と一緒にされては困るんです」

   国民生活センターにはこの4年間で245件の相談が寄せられている。「サブリース問題の問題と現状」という冊子も作っていて、専門家の意見として「サブリースは(家賃減額の)リスクを大家に転嫁するもの」とまで書かれていた。

法律の規制なくサブリース野放し

   不動産コンサルタントの長嶋修さんはサブリースの問題点を指摘する。「事業者側は建ててもらった時点で利益を確保しています。後はサブリース契約ですが、この契約には厳格な説明を規制する法律がないのです。売買契約ならば宅建業法で説明義務が厳しく課されていますが、サブリースを含む賃貸管理では登録義務も任意規定だし罰則もありません。さらに、大家さんは事業者と見なされるので、消費者としての保護を受けないんです。法律のエアポケットになっています」

   国谷裕子キャスター「国土交通省ではこうした事態についての議論は進んでいるんですか」

   長嶋さん「今のところ出てないと思います。この番組で社会的な問題意識が醸成されていけばいいなと思っています」

   国谷「今後、家賃の水準はどうなっていくんでしょうか」

   長嶋さん「日本全体の不動産価格は今後20年、30年ずっと落ちていきます。人口が減って需要がなくなるのだから仕方のないことです」

   このままアパート建築が続くと、2030年以降、空き部屋率は41.8%になるという試算もあり、この事態を防ぐには「着工数を現在の3分の1に減らさなければならない」と見られている。

   野村総研の榊原渉氏はこう言う。「無尽蔵に住宅地をどんどん開発していくということも、これからは考え方を改めなければいけないかもしれません。日本の住宅供給の仕組みを変えていかなければならないでしょう」

   国谷「根本的な原因はどこにあるのでしょうか」

   長嶋さん「平たくに言うと、『量の管理』を誰もやってないことにあります。予測は簡単につくのに、これをやってないのは先進国では日本だけです。今すぐにでもやるべきです」

   長嶋さんは最後に、アパートの建設を考えている人は「契約の条文は面倒でも一つ一つ見て頂きたい」とアドバイスした。

(ビレッジマン)

*NHKクローズアップ現代(2015年5月11日放送「アパート建築が止まらない~人口減少社会でなぜ~」)

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