2018年 8月 19日 (日)

増える「大学への献体」医学生の解剖実習教材に・・・死んでも役に立ちたい

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   大学へ「献体」を希望する人が増え続けているそうだ。献体とは大学の医学生の解剖実習向けに自分の遺体を提供することで、1985年は5万人だった登録者が、現在は約15万人となり、大学によっては新たな登録を制限するほどだという。

葬式や納骨のもう一つの選択

   こうした献体希望者の増加の背景には、解剖に対する日本人の意識や葬式、墓のあり方の変化がある。「かつては、遺体を切り刻まれるというのは、まっとうな人間がされることではないという意識がありました。献体を希望する方がいても、ほとんどの場合は家族が反対したんです」(日本解剖学会の松村讓兒理事)

   生命倫理にくわしい東京財団研究員の橳島次郎氏「一番大きな背景として、お葬式やお墓のあり方の選択肢が増え、個人がそのなかから選べるようになったことがあるでしょう。献体も選択肢のひとつに入ってきた」

   献体希望者からは「人の命のために役に立てるかもしれない」「(自分の)視力を取り戻してくれた医療に少しでも貢献したい」「そのまま火葬されるより、少しでも役に立てば」といった声が聞かれた。解剖に臨む医学生の真摯な態度や大学側の誠実な対応を知ったことを理由に挙げた人もいた。

大学側が戸惑う遺骨問題

   ただ、大学側には希望者急増への戸惑いもある。そのひとつが遺骨の問題だ。解剖後の遺骨は家族に返すのが原則だが、大学によっては納骨堂を用意している。

   最近は、家族がいない、あるいは子供がいても遠方に暮らしていて墓の維持が不安――などの理由で納骨堂入りを希望する人が多く、納骨堂のスペースが想定以上に圧迫されているところもあるという。大学がことさらに遺骨の面倒を見ることは、献体は本来見返りなしに行う行為であるという理念に反するのではないかと懸念する向きもある。

   橳島氏はこれについてこう反論する。「無報酬、無条件で医学の役に立ってくれた人が大学の敷地に眠るということであり、献体した人も役立った医学生や医者をずっと見守っていけるという意味では、むしろ献体の理念によく合っているのではないかとも思いますけどね」

NHKクローズアップ現代(2015年5月12日放送「私の遺体 提供します~増える献体 それぞれの選択~」)

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