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まじめ父さん「無理心中」金銭トラブルで娘はノイローゼ、妻はうつ病

   愛知県岡崎市内で26日朝(2015年5月)、包丁2本を所持していた65歳の男が銃刀法違反容疑で逮捕された。その2時間ほど前に30キロ離れた木造2階建ての男の自宅が全焼し、焼け跡から3人の遺体が見つかっていた。

   取材したリポーターの阿部祐二によると、男の妻が8000万円にのぼる金銭トラブルに巻き込まれ、無理心中を図ろうとしたことがわかかった。

長女の就職斡旋頼んだら「8000万円だまし取られた」

   逮捕されたのは松井芳治容疑者で、遺体は妻(65)と長女(37)、それに妻の母親(89)の3人と見られる。松井は3人の首を絞めて殺害した後に自宅に火を付け、車で30キロ離れた岡崎市内のはんこ店に来て、女性に「妻がうつ病になったのはお前のせいだ」と叫んでいたところを警察官に身柄確保された。「自分も死ぬつもりだった」と話しているという。

   焼けた自宅近くには松井が書いた親族宛の遺書のような手紙が見つかった。手紙には「金が返ってくる可能性もない。かわいそうだから俺が(あの世に)連れて行く。おっかさん(祖母)と姉さん(妻)を連れて行くけど許してくれ」と書いてあった。

   親族によると、発端は長女の就職先について妻が30年来の知人だったはんこ店の女性に相談したことからだった。そのはんこ店の女性からその後、就職の斡旋に使った費用を複数回にわたって要求され、恐喝してくるので妻が支払ったという。親族が振り込みの控えを確認したところ、合計で8000万円にのぼっていた。あまりにも額が多く、返却を要求したが返ってこなかったという。

   阿部がその女性の息子に話しを聞くとこんな答えが返ってきた。「うちもカネを貸していて被害者なんですよ。向こうは生活費が欲しいと言ってきたそうです。何千万円単位です」

   どこまで事実関係を知って話しているのか不明だが、真っ向から反論している。

警察や弁護士に相談「でも、どうにもならない」と遺書

   自分のことでトラブルになった娘はノイローゼになって体調を悪化させ、妻はうつ病になった。松井は親族にこう打ち明けたという。「娘のあんな姿を見るのは忍びない。娘の人生をダメにした。それが一番悲しい」

   松井は警察や弁護士に「およそ8000万円騙し取られた」と相談に行っている。しかし被害届の提出までには至らなかった。親族宛ての手紙には「警察に相談してもどうにもならないので、この手段を選んだ」と書いてあった。

   コメンテーターの宮崎哲弥(評論家)「弁護士も対応できないですかね」

   望月晶子弁護士は「詐欺という犯罪は内偵が必要だし、立証が難しい」という。複雑な金銭トラブルでは弁護士も役に立たないというわけか。

   近所の人は「町内会長もしたことがある本当にまじめな人。定年まで勤められてしっかりした人で信じられない」と話している。