買いたいものがわからない!プロの目利きに選んでもらう「買い物おまかせビジネス」大繁盛

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   NRIの「生活者アンケート」(2012年)によると、「商品情報量が多すぎて困る」と答えた人は7割にも及んでいる。こうした状況の中で、欲しいものを自分で選ぶのではなく、「目利き」と呼ばれるプロに選択を任せて購入する新たな消費のスタイルが広がっている。

   東京都内で看護師として働く渡邊みなみさん(28)のもとにプロのスタイリストが選んだ服が届けられた。「あ、かわいい。フリル!」

   入っていたのは普段あまり着ないレースやフリルのついたブラウスとスカートなど3着だった。さっそく着替えてみると、またもや「かわいい」。「自分で選ばず、スタイリストさんが選んでくれるから、いろいろ発見があるんだと思います」という。

   渡辺さんがこのサービスを利用するようになったのは2か月前だ。それまで利用していたネットショッピングでは、何を選んでいいのか分からなくなり、同じような服を買ってしまうことがしばしばだった。渡邊さんは「新しい服が欲しくなってネットで見たりするんですが、同じのを買っちゃって、永久ループにはまってるんだと思います」

   渡邊さんはプロのスタイリストがそれぞれの顧客に合った服を選んでくれるベンチャー企業に会員登録してみた。この企業はサービス開始から4か月で会員登録が5万人に達しているという。利用者は「全身写真」「好きな色」「着てみたい色」「好きなコーディネート」などの情報を登録する。それらの情報をもとにプロのスタイリストが膨大な商品情報の中から、利用者に似合いそうな服を3着選び出す。実はこの選び方にポイントがある。2着は利用者が好みそうな服。残りの1着はあえて好みから少し外した服を選んでいる。この「意外なコーディネート」が利用者の発見につながっているのだ。

読みたい本を選んで届ける書店

   北海道砂川市で書店を営む岩田徹さんは1万円分の本を選ぶサービスを行っている。全国から申し込みが殺到し、現在は400人待ちの状態だ。岩田さんが本を選ぶときに大事にしているのは利用者が記したアンケートだ。「年齢」「読書歴」「家族構成」「抱えている悩み」などからお勧めの本を選ぶ。「夫と共通の趣味が持ちたい」という埼玉・さいたま市の30代主婦、村松葉子さんに選んだのは料理の本など12冊だった。その中に1冊、ボクシングの本を紛れ込ませた。夫が好きな格闘技には関心がないという村松さんのためにあえて選んだ。

   岩田さんは「こんなのどうですかって、ポンって提案してあげるのは人間しかできないから」と話す。村松さんが最初に手に取ったのは例のボクシングの本だった。中には「クリンチ」とか「カットマン」というボクシング用語が出てくる。傍らにいた夫に「クリンチって何だっけ」「カットマンってなに」と質問し自然に会話が生まれていた。

   村松さんは「私、本を読んでいるとき夫としゃべらないのに、夫と話しながら読めたのが楽しかった。こういう出会いじゃなかったら読まなかった本だと思います」と満足そうだ。

あえて客の好みにズレた商品

   マーケティングや消費者行動に詳しく、「目利き」についての研究もしている慶応大学の清水聰教授はこう言う。「買いたいものを見て、そのあと2時間ぐらい(ネット上を)回遊して、結局分かんなくて、最初のところに戻っちゃうという経験は私もよくやってます」

   国谷裕子キャスター「そういう中で、目利きの方は消費者のどういうニーズに応えているんでしょうか」

   清水教授「さきほどのVTRで面白いと思ったのは、マーケティングの中のある『適度な不一致』という理論にまったく基づいたことを衣料品屋さんも本屋さんもやっていることです。どういうことかと言うと、あの女性は自分の好きな色だけを提案されると『今までと同じだ』と見向きもしない。全然違うものを入れてくると、これまた『自分に合ってない』となってしまう。

   本屋さんも、ボクシングについて奥さんは興味がないけれど、なんとなく近いのかなと選んでいる。そういうサービスが非常にいいんだと思います。いわゆる『お勧め』のようなメールはたくさん一方的に送られて来ると思いますが、そこにはコミュニケーションがないんですよね。しかし、今回のこれはすごくコミュニケーションされている。書店に方が『こういうのは人間にしかできない』とおっしゃってました。この言葉が真髄かなと思いますね」

   国谷「目利きの人に頼むと、自分に合ったものを選んでくれるという実感がカギなんでしょうか」

   清水教授「流行りもの、その人に合っているもの、世の中でどう広がっていくのかという3つがバランス良く考えられる人がいい目利きなんだろうと思います」

NHKクローズアップ現代(2015年6月15日放送「買い物は『おまかせスタイル』で~広がる目利きビジネス~」)

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