最下位グセをぶっ壊せ!首位争いベイスターズ支える「プロ野球素人集団」ファンも選手も楽しいチーム

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   横浜DeNAベイスターズの躍進ぶりが注目されている。セパ交流戦では10連敗して12球団最下位に沈んだものの、観客の増加率では12球団トップだった。開幕後の単独首位は横浜ベイスターズ時代の07年5月以来8年ぶりだ。監督任せでない球団主導の若手選手育成策が奏功し、ルーキーが檜舞台で活躍して、快進撃を続けている。

   4年前にDeNAに買収されるまでの10年間、8度の最下位というのがまるでウソのような躍進ぶりで、いったい何が起きているのか。

球団職員の6割を入れ替えて「ファン獲得」長期戦略!観客大幅増

   親会社が変わる4年前までのベイスターズは惨憺たるものだった。監督が次々と任期途中で解任され、生え抜きのスター選手もトレードに出され、自ら他球団に移って行った選手もいた。3万人収容の横浜スタジアムが2割しか埋まらない試合もあり、観客離れが加速し、球団経営も赤字に転落するなど厳しさの連続だった。

   ドン底の球団をどうやって浮揚させるか。常識破りの改革の先陣を切る形になったのが、現球団オーナー南場智子が創業したDeNAによる球団の買収だった。男性社会だったプロ野球界への女性による切り込みがそもそも度肝を抜いた。

   新しい親会社のもとで改革の指揮をとってきたのもプロ野球とは無縁の池田純球団社長だった。破たんした食品会社の再建経験がある池田社長は、球界の慣習に縛られない手法で改革を進めた。まず重視したのが話題づくり。球団職員の6割を入れ替え、プロ野球とはなじみの薄いイベント会社などからスタッフを集めてファン獲得のための長期戦略を立てた。

   1年目は試合がつまらなかったら「全額返金」。VIP待遇で試合を観戦できる球界史上最高額の「100万円チケット」の販売と話題をさらった。2年目からはインターネットのチケット販売の傾向を細かく分析し、観客の男女比、年齢、居住地を調べ、一番のターゲットを20~30代のサラリーマンに絞った。この世代は勝敗よりも球場の雰囲気を楽しみたいと考える傾向が強いことが分かり、スタジアムを改良した。さまざまなスタイルの観戦ができるリビングBOXシートを設けるなど、この世代向けのサービスを重視した。20~30代の観客が4割増加し、家族や同僚を連れてくることで全体で6割増に繋がった。

   ファンの増加に支えられ、チームの力も徐々についてきた。買収1年目は最下位だったが、2、3年目は5位、4年目の今年はセリーグの首位争いを演じている。

横浜スタジアムに「チーム戦略ルーム」詳細データでフォームや相手チーム研究

   最下位が当たり前だったチームの力を高めるのはそう簡単ではない。実は秘策があった。スタジアムの一角に「チーム戦略ルーム」がある。ここには12球団のほぼすべての試合の映像をサーバーに保管し、データを解析して選手は携帯端末で1球単位で見られるようになっていて、精緻なデータが試合を左右する武器になっている。

   12球団で最も若い4番の筒香嘉智選手(23)はこのシステムで自分のフォームや対戦相手投手を研究し、打撃部門すべてでトップ3に入っている。「イメージもつきやすいし、相手ピッチャーの球種を見せてといえばすぐに出してもらえる。僕にとっては絶対にないといけない」

   もう一つは高田茂ゼネラルマネージャーの存在だ。中畑清監督を試合の采配に専念させ、自分はチームの編成や若手育成に力を入れてきた。抑えの切り札、ルーキーの山崎康晃投手はリーグトップの19セーブを挙げており、登板するとファンは一斉に立ち上がって出迎える。ドラフト下位で入団した関根大気選手は大事な場面で貴重なタイムリーを打ち、プロ2年目とは思えない勝負強さを発揮している。

   ただし10連敗からどう立ち直るか。チームの底力が試されるのはこれからである。

   「観客動員で勢いがついてきたチームの今後の課題はリピーターですよね」と言う国谷裕子キャスターに、かつてのベイスターズ投手の小宮山悟・元投手(野球評論家)は次のように答えた。「ここにきて10連敗は残念だけれども、4、5月に頑張りすぎた反動が来ている。10連敗の負け方もひどい負け方ではないと判断できるので、これからも期待が持てます。首位に立って堪える経験をしていないので、もっともがいてほしい。それが来年にも繋がっていく」

   最下位グセがまたぞろ出てしまったわけではないだろう。国谷キャスターは触れなかったが、先陣を切って男性社会のプロ野球に切り込んだ南場球団オーナーの心意気をくみ取って頑張ってほしい。

モンブラン

NHKクローズアップ現代(2015年6月17日放送「『常識破り』の球団改革 ~密着・DeNAベイスターズ~」)

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