2024年 3月 29日 (金)

「安保法制」強行採決連発で安倍内閣の支持率急落!恥も外聞もなく引退の橋下徹にすがりつき

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   おいおい週刊誌諸君といいたくなる。安倍首相が今国会会期中に成立を目指している安全保障関連法の一括改正案と国際平和支援法案が、ここへきて圧倒的多数の憲法学者たちから「違憲」だと指摘され、先行きが不透明になってきた。この『重大事態』をほとんどの週刊誌が真っ正面から取り上げていないのはどうしたことだ。

   わずかに『週刊朝日』が小林節慶應大学名誉教授と、自民党推薦で憲法審査会に呼ばれて「集団的自衛権の行使は違憲」と述べた長谷部恭男早稲田大学大学院教授との対談「安保法制は撤回せよ」を慎ましくやっているだけだ。そこで長谷部教授はこう述べている。

<「日本が攻撃された時の個別的自衛権と、外国が攻撃されたときの集団的自衛権はまったく違う。正当化できるはずがありません。いかにも限定的に見える言葉は武力行使を限定する役割を果たしていない。従来の政府見解の論理とは整合せず、法的安定性は大きく損なわれた。憲法違反です」>

   要は、自国が攻撃を受けたときの自然権としての自衛権は憲法が認めているが、他国が攻撃された場合に一緒に戦う集団的自衛権は一切認めていない。それをどうしてもやるというのなら憲法改正しかないという至極当然の論理である。

小林節慶應大学名誉教授「憲法より自分優先。北朝鮮の金家と同じです」

   安倍首相や菅官房長官らは集団的自衛権が憲法違反であることは十分に承知しているはずだ。だから、憲法の番人である内閣法制局長官に集団的自衛権行使容認に積極的な小松一郎氏を無理矢理据え、集団的自衛権について触れていない「砂川判決」を持ち出してまで、世論に自分たちの正当性を訴えようとしているのである。だが、「報道ステーション」で憲法学者の木村草太氏は「砂川判決は個別的自衛権についてすら判断を保留している。この判決を集団的自衛権の根拠にしている人は判決文を読んでいない」と批判している。

   国会軽視と批判されることを承知で、夏までには法案を成立させるとアメリカ議会で「確約」してしまった安倍首相は、強行採決しか道はないと思い定めているに違いない。維新の党の前代表である橋下徹大阪市長と急遽、会談し、採決の時に欠席しないでくれと頼んだようだ。与党だけで強行採決すれば世論の大きな反発を招き、支持率が下落することを恐れてのことであろう。

   これまで日本弁護士連合会などが集団的自衛権行使は憲法違反だと批判してきたが、週刊誌はもちろんのこと新聞やテレビも大きく報道してこなかった。だが、憲法の専門家たちが「違憲」のお墨付きを与えたことで、一気に批判のボルテージが上がった。報道ステーションでは「憲法判例百選」の執筆者である198人の憲法学者にアンケート行い、151人から返信をしてもらった。6月15日(2015年)にその結果を発表したが、集団的自衛権行使は違憲だと答えたのが132人、違憲の疑いがあるは12人、違憲ではないと答えた憲法学者はわずかに4人だった。本来ならこうしたものはNHKがやるべきだが、安倍首相の傀儡会長の下ではできないのだろう。

   小林節慶應義塾大学名誉教授は日本記者クラブで会見し、こう発言している。「(集団的自衛権が)違憲というのはもちろんですが、恐ろしいのは、憲法違反がまかり通ると、要するに憲法に従って政治を行うというルールがなくなって、北朝鮮みたいな国になってしまう。金家と安倍家がいっしょになっちゃうんです。これは絶対に阻止しなければならない」

   専門家からはダメを出され、自民党OBたちからも反対の声が上がり、支持率も下落しているなかで強行採決などしたら、それこそ日米安保条約で辞任した岸信介の二の舞になる。否、岸も憲法を改正したかったのだろうが、まずは日米の同盟関係を見直す安保条約をやってからという「常識」はもっていた。その孫である安倍は、違憲状態を作り上げてから憲法改正に持っていくという、本末転倒どころか「憲法違反」を白昼堂々と行おうとしているのだ。狂気の沙汰である。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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