米FRB年内利上げ!『悪い円安』加速で物価急騰、輸出ブレーキでアベノミクス墜落か

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   アメリカの中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は17日(2015年6月)、当面はゼロ金利政策を維持するものの、「年内に利上げするのが適切」との見解を示した。先月も同様の発言をした途端、日本円は一気に5円も下がったほか、インドネシア、南アフリカ、メキシコ、トルコ、ブラジルなど新興国の通貨も一斉に下落した。アメリカの利上げは世界経済にどんな影響をもたらすのか。

早くもトヨタ、スズキ新車販売大幅減少

   人口2億5000万人、東南アジア最大の市場であるインドネシアは、海外から次々と企業が進出し、投資マネーを呼び込み、成長を続けてきた。ところが先月、物価が前年比7%も上昇した。消費が大きく冷え込み、経済成長率も4・7%と09年以来の水準に落ち込んでいる。原因の一つが通貨安だ。インドネシア通貨・ルピアはこの1年でドルに対し15%以上下落した。金利が高くなりそうなドルを買ってルピアを売る動きが加速したからだ。

   インドネシアのソフヤン・ジャリル経済調整担当大臣はこう言う。「政府は急速なルピア安は望んでいません。アメリカ政府に何かを望むことはできませんが、ただ〝大人の対応〟をしてもらいたいですね」

   ブラジルのレアルも30%安、南アフリカのランドは14%安(いずれも対ドル、前年比)になっている。

   日本を直撃するのは、こうした新興国の経済状況の変化だ。これまで有望な市場と見込んできた新興国の急ブレーキは、日本企業の業績にも直結する。トヨタは4月の新車販売台数が22・2%も落ち込んだ。スズキはもっとひどくて41・6%マイナス(いずれも前年同月比)になるなど、大きな打撃を受けている。

   IMF(国際通貨基金)はアメリカの利上げのタイミングが早すぎると世界経済に深刻な影響を及ぼすと懸念を示している。ラガルド議長はこう話す。「アメリカの利上げは、国境を越えて金融市場に大きな変動をもたらします。利上げは来年の前半が望ましいと考えています」

黒田日銀も「ゼロ金利・量的緩和」時代終わり

   国谷裕子キャスターが国際金融評論家の倉都康行氏に聞く。「VTRのアメリカに『大人の対応を求める』という言葉が印象的でした。新興国の景気が鈍化すると、当然アメリカも影響も受けると思いますが、イエレンさんの心模様はどういうものでしょうか」

   倉都氏「ゼロ金利というのはあくまで異常事態なんですね。中央銀行としてはできるだけ早く金利を正常化したい。利上げというより金利の正常化を急いでいるということだと思います」

   国谷「日銀の黒田総裁は実効レートを見るとこれ以上円安が進むとは思えないと言っています」

   倉都氏「日銀としては『これ以上円安に進んでほしくない』というのがホンネにはあると思います。日銀の最大のテーマは物価の上昇率ですから、まだ物価は上がるだろうという期待値は残っています。ただし、どこかで追加緩和ができるカードは持っていたい。そういう中で、あまりに円安が進んでしまうと、いわゆる『悪い円安』になってしまう。したがってあまり円安になって欲しくないがホンネでしょう」 国谷「アメリカが利上げに向かおうとする中で、日本の経済運営はどうあるべきでしょうか」

   倉都氏「アメリカが利上げという形で正常化をしていったとなると、日本にとっても一つの手本になると思うんです。日本もアメリカと同じ量的緩和の真っただ中ですが、いずれ出口を考えないといけない時期が来ます。いつまでもぬるま湯にドップリ使っていてはいけないという姿勢を少しづつ出してゆく必要はあると思います」

NHKクローズアップ現代(2015年6月22日放送「世界通貨安どこまで~アメリカ『利上げ』の波紋~」)

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