<躍る旅人 能楽師・津村禮次郎の肖像>
70歳過ぎてなお止み難い『新しい能』への想い!老能楽師5年間のドキュメンタリー

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(C)2015 究竟フィルム KUKKYO FILMS
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   能楽師・津村禮次郎を日本の伝統芸能を題材として手掛けてきた三宅流監督が、5年間にわたり記録した。70歳を超えてなお「能」の世界だけにとどまらず、新たな表現の可能性を模索する津村の姿から人間の肉体が持つ可能性の奥行きをカメラは捉えた。

撮られる側と監督の共存関係

   ダンサーの森山開次、バレエの酒井はな、パントマイムの小野寺修二と競演した舞台そのものではなく、打ち合わせや稽古の風景を中心に見せていく。津村の飽くなき好奇心と表現を探る情熱、誰もしてこなかったことに挑戦する姿を記録するのがこの映画のテーマだからだ。

   津村の目指す場所は答えのない未知の領域で、あらゆるディテールを逃さない記録の先にあるのはドキュメンタリーが持つ可能性だろう。対象である津村と視点である三宅の共存関係が生み出したものは「旅」だ。

   津村は出家した後に女性能楽師の津村紀三子に師事し、その養子となった。彼の少年のような瞳は世の不条理を理解した「若さ」だ。人生は旅であり、挑戦を続けることでしか生きている実感を得られないと、津村は肉体で語る。

   能に取っ掛かりがなくとも、スクリーンの明るい老人を誰もが愛さずにはいられなくなるだろう。表現する者=生きる者へのラブレターだ。

丸輪太郎

おススメ度☆☆☆☆

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