涼やかな佇まいが人気「錫器」江戸時代に職人たちが腕競った酒器、茶器
2015年07月08日06時00分
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錫器(ずずき)は、1300年ほど前に中国から伝わったと言われ、正倉院宝物にも薬壺などが収められている。錫の器はかつて金・銀に並ぶ貴重品であり、江戸初期には京都の「錫師」が一部特権階級のためだけに製造していた。
江戸中期になると、「錫屋」が大阪・心斎橋筋に店を構えるようになり、庶民の生活にも浸透していった。「水や酒をおいしくする」と酒器として広く用いられ、その美しい輝き、涼やかな佇まいから、茶器として煎茶道を嗜む文人たちにも愛用された。最盛期の昭和初期には、250人もの職人が腕を競ったという。
江戸時代から続く鋳造、鍛金の技術から生まれる美しい逸品などを鑑賞。夏にふさわしい涼やかな器の魅力に迫る。