2024年 4月 26日 (金)

憲法学者・木村草太さんの目からウロコの指摘「安保法制は曖昧不明確なゆえに無効」

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「安倍あたまオカシい。完全に歴史を誤った方向に進めた」
「マスゴミ批判発言の謝罪とこの件で安倍支持やめるわ。総理辞任しろ、低学歴カス」
「安倍が売国奴だと、今の今まで気がつかないで安倍を持ち上げてた」
「とりあえず、死ね安倍」

   断っておくが、この「雑言」は私のではない。世界遺産に登録された「軍艦島」など日本の近代化産業遺跡群をめぐり、韓国側は第2次世界大戦中に朝鮮人が強制労働させられた施設が含まれていると登録反対を主張し、さまざまな妨害活動を繰り広げてきた。

   登録されたその日、日本の代表団が「意に反して厳しい環境のもとで働かされた(forced to work)朝鮮半島の人々がいた」と言及したことに怒ったネトウヨたちが、インターネットの掲示板やFacebookなどに一斉に書き込んだのを『週刊現代』が拾ったものである。だが、世論の大多数が反対し、ほとんどの憲法学者が違憲だとする安全保障関連法案の採決を強行した安倍首相への批判と見事に重なるではないか。

「憲法九条に反してるからというよりは、内容の不明確な法律は作ってはいけないんです」

   先日、憲法学者の木村草太さんとこの件で話し合った。彼は7月13日(2015年7月)、衆院特別委員会の公聴会に呼ばれて「日本への武力攻撃の着手がない段階での武力行使は違憲だ」と真っ向から批判したが、次の指摘が私には一番腑に落ちた。

「今回の法案はどちらかというと、憲法九条に反してるからというよりは、専門用語では『曖昧不明確なゆえに無効』と言うんですけれども、内容の不明確な法律というのは作ってはいけないんです。言われてみれば当たり前だと思うんですが、法律というのは枠を付けるためにやるわけですから、その枠は明確でなくてはいけない。枠が明確になっていれば合憲だとか違憲だとか、政策的に良し悪しが判断できますけれど、今回はあまりにも政府の内容が不明確です」

   7月16日のasahi.comによれば、「くしくもこの日は、首相の尊敬する祖父、岸信介元首相が1960年、日米安保条約改定を巡る国会の混乱から退陣した日だ」という。歴史は繰り返すか。

   戦後、国民大多数の総意で守り続けてきた憲法を「襤褸の旗」にしてしまおうという安倍のやり方は、許されるものではない。国民主権が蔑ろにされたこの屈辱の日をわれわれは絶対忘れない。

2000億円未満でもまだ高い!新国立競技場の計画見直しで「ノミの心臓サメの脳みそ」森元首相の責任

   国会を包囲した数万の民の声に怯えたのか、安倍首相は2520億円にまで膨らんだ新国立競技場の計画を見直すといい出した。当然であろう。『週刊文春』はこの問題を巻頭で取り上げているが、週刊文春のメールマガジンの読者にこの問題についてアンケートを実施したところ、実に86.7%が「NO」と声を挙げたという。

   何しろ、財源として決まっているのはスポーツ振興くじ(toto)などを合わせたわずかに626億円だけである。その他に「命名権」を売って充てるという話もあるそうだが、それでも200億円程度の話である。あとは税金で賄うというのだから国民が怒るのは当然である。

   それもこれもデザインは大胆・斬新だが建つことがないといわれるザハ・ハディド氏のものを採用した安藤忠雄氏と、五輪の前の年にラクビーW杯をやるために新国立をごり押しした森喜朗元総理の責任が大きい。とくに現職時代、「ノミの心臓サメの脳みそ」と評された「偉大なる小者」森氏が一番悪いと週刊文春は名指ししている。

   遅まきながら安藤忠雄氏は7月16日に記者会見を開き、「2520億円になった理由は私も聞きたい。総理大臣じゃないので、私が決めたわけではない。都民の1人として下がらないかなと思う」(asahi.comより)といったという。これまた無責任な発言である。

   この不透明な予算のうち何%かが森氏の懐へ入っているのじゃあるまいな。政府は総工費を2000億円未満に減額する方向で検討に入り、巨大アーチをなくすことや別のデザインに変更することなどが候補に挙がっているようだ。私は2000億円未満でも高すぎると思う。当初予算の1300億円ぐらいまで圧縮するべきである。

中国株は中国共産党が胴元になってる賭博。習近平首席の誕生日さかいに暴落

   ギリシャへの支援を条件付きながらEUが認めたことで、ひとまず最悪の事態は回避されたが、中国の株バブル崩壊のほうはそうはいかないようである。週刊現代で元中国有力紙の編集委員で著名コラムニストの丁力氏がこう話している。

<「中国株は、中国共産党が胴元になっている賭博です。共産党は配下に収めている政府機関と官製メディアを使って煽り、2億人以上の国民を株式市場に駆り立てておきながら、あげくその資産を収奪したに等しい。いまや中国全土は大混乱に陥っていて、夥しい借金を抱えて自殺する人も相次いでいます」>

   週刊現代によれば、自殺第1号は6月10日、湖南省で起こったという。省都・長沙市のタワーマンションの22階から32歳の侯氏が飛び降り自殺した。その日の午後3時過ぎ、証券市場が終了した後、侯氏はこのような「遺書」をネットにアップしていたそうだ。<「この世に別れを告げるにあたって、私はただこう言いたい。賭けをする者は、負けたら負けに従うべきだと。私は全財産を担保に、170万元(1元= 19.6円、約3300万円)という4倍の信用取引で『中国中車』の株を買った。だが、その結果たるや・・・。

   もう誰も恨まない。今は自己の欲望を愚かだと思うばかりだ」>

   諸悪の根源は政府が解禁した「信用取引」である。<「中国で株価が低迷した12年8月に、『股民(個人株主=筆者注)』を増やそうと、自分の持ち金の何十倍も掛けられる信用取引を解禁したからです。

   このハイリスク&ハイリターンの信用取引に、一攫千金を狙う中国人が殺到しました。昨年の深せん証券市場の取引額の37%にあたる27.5兆元(約540兆円)が、信用取引によるものでした。これにハマった人々は、今回の暴落で全財産の何十倍もの借金を抱え込んでしまった。その結果、『跳楼(飛び降り自殺=筆者注)』するしかなくなったのです」(北京在住のジャーナリスト李大音氏)>

   今年に入って中国株は絶好調だった。6月12日には日経平均株価にあたる上海総合指数が5178ポイントをつけて引けた。再び李氏が語る。<「6月12日の金曜日に最高値を更新したことで、多くの『股民』たちが、一気に勝負に出ました。

   なぜなら週明けの6月15日は、中国人なら誰でもが知っている習近平首席の62回目の誕生日。習近平政権のキャッチフレーズは『中国夢(チャイニーズ・ドリーム)』なので、誕生日に習主席が全面的な株価のストップ高というビッグな夢を国民にプレゼントしてくれると期待したわけです」>

   ところが、週明けの6月15日から株価は暴落を始め、7月8日の終値は3507ポイント。実に1か月弱で47%も下落してしまったのだ。李氏はもしも上海総合指数が3000ポイントを切ったら、金融危機の到来を覚悟しないといけないという。08年のリーマンショック、09年のユーロ危機に続く中国発の世界的経済危機が間近に迫っているのである。

   日本の株価もギリシャ不安や上海市場の下落を受けて乱高下している。週刊現代は『懺悔』するようにこう書いている。<振り返れば、株価が2万868円をつけて「ITバブル超え」と騒がれたのはつい最近、6月24日のことである。次は96年につけた2万2666円を目指していくぞという威勢のいい声が響き渡っていたのが、今はウソのようである>

   週刊現代はアベノミクスの尻馬に乗って3万円もあると騒いだが、<株も投信も不動産も、まだ傷の浅いうちに逃げ出したほうがよさそうである>とまでいっている。

ユニクロ神話そうだったのか!「品質がいいのに安い」ではなく「安いわりに品質がいい」値上げできず苦境

   異変といえば同じ週刊現代が「突然ユニクロが売れなくなった」と報じている。6月の国内売り上げ高が前年比マイナス11.7%になったのだ。常に「絶好調」という枕詞付きだったここ数年、目にしたことのない落ち込み方だそうである。しかも、これまでのユニクロの「安くて品質がいい」が強みではなく弱みに変わろうとしているという。円安や材料費上昇などの要因で、値上げを余儀なくされているのが最大の理由だそうだ。

   マーケティングが専門の慶応大学商学部教授の白井美由里氏がこう指摘する。<「誰もがユニクロには『高品質で低価格』というイメージを抱いています。しかし、数年かけてアンケート調査を行ったところ、実は『品質がいいのに安い』のではなく『安いわりに品質がいい』と評価されていることが分かりました」

   消費者がユニクロ製品の何を重視して購入しているかを調べてみると、「品質のよさよりも安さのほうをより重視している」との結果が出たという。<「ユニクロの商品の主な『売り』は安さであり、ゆえに値上げが難しいということです。マーケティング戦略の一般論として、高級ブランドのほうが価格の自由度が高い。高いものは安くできますが、もともと安いと思われているものを値上げするのは困難なのです」(白井氏)>

   昨年、柳井社長は創業以来初めての一斉値上げに踏み切った。現在、ジーンズの主要ラインナップには4990円の値札も付いているそうだ。さらに今年の秋冬商品での一部で大幅な値上げを予定している発表している。値上げ幅を全商品で均すと、およそ1割に達するという。

   週刊現代はユニクロは第二のマクドナルドになるかもしれないと懸念している。日本マクドナルドは藤田田初代社長時代末期の02年、ハンバーガーを1個59円にまで値下げし、さらに原田泳幸前社長時代には100円マックを打ち出した。こうした徹底的なデフレ戦略が「マクドナルドは安くて当然」という意識を日本人に植え付けてしまったというのだ。

   最近、店頭では「ユニクロ、なんか高くなったね」という客の声がすでに聞こえ始めているという。ユニクロのくせに5000円もするジーンズは買いたくない。値段が許容できる水準を超えた瞬間に客はそっぽを向き、何もいわず、何も買わずに店を出て行く。

   ヒートテックやエアリズム、ウルトラライトダウンといった驚くべき高機能素材を次々に投入し、消費者を楽しませることも忘れなかったユニクロだが、日本の消費者はすでにユニクロの服そのものにはあまり魅力を感じていないという。それよりも、ヒートテックのような他では買えない新しい高機能製品を待ち望んでいるが、そういう魅力的な商品を次々に出さない限り、今までのような成長は難しくなってくるでしょうと神戸大学経済経営研究所リサーチフェローの長田貴仁氏が語っている。

   私には柳井氏とダイエーの中内功氏が重なって見える。拡大路線を突っ走ったダイエー中内氏が挫折したように、柳井氏も同じ轍を踏まないか心配である。

東芝「不正会計」の元凶・西田厚聰相談役!公家集団から数字至上主義

   『週刊新潮』は、日本を代表するトップ企業「東芝」が不正会計問題で揺れていることを取り上げ、この裏には公家商法を一変させた「強烈相談役」の存在が大きいと指摘している。

   2014年3月期決算時点で売上高6兆5000億円、社員数約20万人。日立製作所は「野武士」といわれ、ハイソでエスタブリッシュメントの印象が強かった東芝だったが、2月に証券等監視委員会への「タレこみ」で公家商法の実態が明るみに出てきたのだ。

   最初、田中久雄社長は「500億円の不正会計が見つかったが,事務的なミス」といっていたが、とんでもなかった。1500億円、2000億円と雪だるま式に膨れあがっていき、幅広い事業で不正会計が行われていた可能性が高く、しかもこれは全社的に行われていた「慣行」だったと第三者委員会は見ているようだ。

   おっとりした公家集団を数字至上主義に一変させたのは、西田厚聰元社長・現相談役だと週刊新潮は名指しする。西田氏は大学を出た後、イラン人女性と結婚して移住し、現地企業と東芝の合弁会社に就職し、31歳で本社に引き上げられたという一風変わった経歴の持ち主である。入社後、90年代にダイナブックを普及させ、その功績で社長になった。「数字の鬼」といわれていたそうである。

   西田氏は儲かる事業に特化することで売り上げを伸ばし、特に半導体と原発に収斂する経営を進めた。だが、リーマンショックや原発事故が起きたため、西田氏の後を継いだ佐々木則夫社長(当時)は原発事業を維持しようと無理をして、下に「何とかしろ」と号令を掛け、次の田中現社長もその方針を引き継いだ結果、「ノルマ絶対主義」がまかり通り2000億円の巨額な不正に繋がったのではないかというのである。

   オリンパスの粉飾決算を暴いたジャーナリストの山口義正氏は、第三者委員会の委員長は元東京高検検事長だから、調査した詳細情報が東京地検特捜部に伝わっていて、有価証券報告書の虚偽記載などで刑事事件に発展する可能性もあると指摘する。

   アベノミクスの狂騒が終焉した後にはユニクロや東芝の残骸がゴロゴロということになりはしないか。政治も経済もより不確定な時代に入ったことは間違いない。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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