せっかくの「感動実話」史実生かせぬ無神経!食糧難時代にデブだったり陸軍兵士が長髪だったり・・・神は細部に宿るのだぞ
<一番電車が走った>(NHK総合)

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   8月6日の広島で原子爆弾が炸裂した数日後の、焦土と化した街に、ゴトゴトと市電が走っている光景は実写が残っている。この一番電車がどうして走れたのかを取材してドラマ化したもの。男たちは出征し、広島電鉄は家政学校を作って16歳の少女たちを運転手に仕立てた。豊子は被爆したが軽傷だったので一番電車を運転する。
   広島電鉄の電気課長・松浦(阿部寛)は、とにかく復興のために線路が無傷だった部分から市電を走らせることに奔走する。豊子の仲良し3人組もバラバラになる、松浦は爆心地から離れた実家に子供たち3人だけを残して不眠不休で変電所の修理に奔走する、などなど、実話のもつリアリティは感動的であるが、不満もあった。
   恐らく膨大な史実を集めたのに違いないのに、取材者かプロデューサーか構成脚本家か知らないが、トップの誰かが凡庸なために、肝心の事がスルーされていて物足りない。豊子と陸軍軍人の淡い恋などの部分は総てカットして、一番電車が動き出すまでの詳細な史実を描くことに徹するべきだった。また、原爆前後に市電に乗っている乗客のエキストラが、この食糧難の時代にありえないデブだったり、陸軍の兵隊なのに長髪だったり、余りにも無神経である。この時代を知らない若者が作っているとしても、当時のモノクロ写真はたくさん残っている。生存者もいる。つまり、優れたドラマは厳密に構築された細部の積み重ねでのみ傑作になるのだ。(放送2015年8月10日19時30分~)

(黄蘭)

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