秀作ミステリーに唸った!戦時下のイギリス・・・哀愁漂う警視正の謎解きで見えてくる複雑な時代と愛憎
<刑事フォイル「ドイツ人の女」前編>(NHKBSプレミアム)

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   NHK海外番組調達班の大功績である。久しぶりに唸るような秀作ドラマに出会った。イギリスでは13年の長きにわたって愛された連続ドラマの佳作だ。その第1回目、企画・脚本はA・ホロヴィッツという大ピアニストみたいな名前の才人。主演はマイケル・キッチン(苗字が台所-Kitchenさんとはこれ如何に?)。キッチンが扮するイギリス南部の鄙びた田舎町・ヘイスティングス警察署の警視正・フォイルが、第2次世界大戦開戦直後の騒然とした中で、事件を解決するミステリーだ。しかし、ただのミステリーではない。
   初老のフォイルは男やもめで、ハンサムだが1人息子も兵役に取られ、部下は運転手の女元陸軍兵士だけ。謙虚で物静か、正義感が強くセクシーだが、どこか寂しげな哀愁のある男。やがて傷病兵の元巡査部長が部下に加わる。今回は有力者の妻がドイツ人なのに収監されていないと怨嗟の的で、馬で遠出の途中に惨殺される事件。
   何が面白いといって、原題の「Foyle's War」が示すように大戦最中が時代なので、只の謎解きだけでなく、スパイや町の男たちが兵役に取られて人手不足なことや、亡命ドイツ人と英国人の対立や、ありとあらゆる不穏な要素がからみ、物語に深みと謎と人間観察の複雑さを加えている。淡々としているのだが息もつかせぬ展開の鋭い演出。これがオリジナル脚本であるから脱帽する。「刑事コロンボ」よりも凄い。紙幅が少なくて書ききれないが、大傑作万歳!!!(放送2015年8月30日21時~)

(黄蘭)

採点:3
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