2024年 4月 20日 (土)

<ピエロがお前を嘲笑う>
見破れるか!仕掛けられた数々の布石・・・トリックの巧みさとスリルに唸るばかり

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C)Wiedemann & Berg Film GmbH & Co. KG, SevenPictures Film GmbH 2014; Deutsche Columbia Pictures Filmproduktion GmbH
C)Wiedemann & Berg Film GmbH & Co. KG, SevenPictures Film GmbH 2014; Deutsche Columbia Pictures Filmproduktion GmbH

   男が警察に出頭する場面から始まる。男の名前はベンヤミン(トム・シリング)。世界中を騒然とさせたハッキング事件を次々と起こした国際指名手配犯だ。彼の自白から捜査官は身辺調査を開始するが、多くの不可解な事実が浮かび上がってくる。翻弄される捜査官を通して、彼の正体と真の目的が浮き彫りになっていく。

   監督はアメリカのバラエティ誌で「世界で注目すべき監督10人」に選出されたバラン・ボー・オーダー。全編を通して仕掛けられたトリックの巧さとスリルが認められ、ドイツアカデミー賞で6部門にノミネートされ、ハリウッドでのリメイクを決めた話題作である。

最後の最後に登場する「映画ポスター」にアッ!

   106分の中に仕掛けられた伏線の多さにも驚くのだが、それをすべて回収していることに舌を巻く。前半部分の蛇足に見えるような台詞が後半に効いてくるということが多々あり、針の穴に糸を通すような緻密な構成に気が抜けない。

   ベンヤミンのハッキング能力は、少年時代のイジメ経験がもたらした産物だ。中途半端な強がりは誰も騙せないが、ハッタリは大胆であればあるほど騙せる。ベンヤミンはメッセージを投げかけるフリをして反政府運動を始める。実は単なる自己顕示欲にかられたパフォーマンスなのだが、嘘を付き続けることでしか理想の自分に近づけない。「この世に完璧なものはない」という確信が鉄壁な防衛システムを破壊していくのだ。

   映画そのものがわれわれを騙しにかかる。どんでん返しありきで観客を錯乱させるような作品を「マインド・ファック・ムービー」と呼ぶそうで、日本公開の宣伝もその部分を押し出しているが、さまざまなスリルが周到に仕掛けられたこの映画にそんな宣伝コピーはいらない。題名も原題の「Who Am I」の方がしっくりくる。

   最後の最後に、オーダー監督の曲者ぶりを象徴する仕掛けが隠されている。ある映画のポスターが出てくる場面が出てくる場面があるので、注視していただきたい。監督が相当な曲者であることが分かるだろう。

丸輪 太郎

おススメ度☆☆☆☆

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